「前代未聞な傑作SFの影にあの名匠の支えあり」第9地区 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
前代未聞な傑作SFの影にあの名匠の支えあり
始まりは6分の短編だった。それもピーター・ジャクソン指揮下で企画されていた「Halo」映画化が頓挫した末、せっかくだからこのメンバーで何か撮ろうという流れで俎上に上ったのがこの短編の長編化だったというから驚きだ。ビジネスも映画も失敗をバネにして這い上がるところでこそ大きなチャンスが得られるのかもしれない。
特殊造形やVFXにおいてもジャクソン率いるWETAワークショップやWETAデジタルの技術力を取り入れて作り出された、この全く新しいドキュメンタリー・タッチのSFアクション。冒頭で様々な記録(風の)映像を駆使しながら宇宙船の到来や難民の受け入れ、スラムの形成、住民との軋轢などをスピーディーに織り成していくクレバーな構成も、ジャクソンによる指南を柔軟に取り入れた結果なのだとか。本作に関して彼の名が取りざたされることは稀だが、超大作を手がけた名匠と新進気鋭の若者による師弟コラボレーションこそが真の推進力となりこの傑作が生み落とされたのだ。
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