「21世紀最初の傑作」ツリー・オブ・ライフ 海月さんの映画レビュー(感想・評価)
21世紀最初の傑作
あの20世紀の傑作「2001年宇宙の旅」とも比較されるこの作品ですが、形としては宇宙の誕生から一気に現代までを4次元的に表現するところが似ているのでしょうけれども、決定的に違うのは、この作品は「神との対話」の映画であり、あくまで人間からの問いかけであるのに対し、キューブリックの「2001」は「神の視点」で創られた映画であり、そのスペクタルは全く異なります。むしろこの映画は、「ノスタルジア」や「サクリファイス」のアドレイ・タルコフスキーと比較検討されるべき作品であり、タルコフスキーの一クリスチャンとしての厳しい信仰心に対して、もっと全宗教に共通するような大らかな慈悲に溢れる作品であり、謙虚な人間の美しさの映画である、といえるのでは?
ともかく、このようなレベルの作品がハリウッドに存在する、ということが驚異であり、映画人としてのプロデューサーを兼ねるブラッド・ピットにはエールを送りたいものであります。
「シン・レッドライン」も実は戦争アクションの形をとった「神との対話」の映画でした。神と対話している人間はその時何をしていたか?というと、最悪の罪である戦争の途中であるというコントラストのキツイ映画でしたが、今回は普通の人々の映画、これは明らかに「シン・レッドライン/ビギニングス」ともいえると思います。
「地獄の逃避行」も連続殺人犯人に菩薩のような優しい眼差しを向ける映画でしたが、この奇跡のような監督の価値に、もっと理解をよろしく。
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