「古くて綺麗なセピア色の超大作」ジョン・カーター 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
古くて綺麗なセピア色の超大作
この日は『ジョン・カーター』と『バトルシップ』の2本をハシゴ見したのだが、
考えてみると2本ともT・キッチュ主演。
あまり濃い顔では無いが、同じマッチョ俳優を日に2度も観ると
流石にげんなりするような満腹感が。
T・キッチュは日に1本で十分ですね。ゲープ。
この映画には予告編でかなりの不安を抱いていた。
まず……デジャヴ感。
どこかで観たような画やキャラや物語だなあと考えた途端に鑑賞意欲が減衰。
これはしょうがないんだけどね。
『スターゲイト』『デューン 砂の惑星』『SW』とか、
こういうSFってなんで砂漠が舞台になる事が多いんだろと思っていたが、
本作の原典がイメージの源だったとは知らなんだ。
(初版1917年ってマジすか)
独創的な映像が無ければ、次に目が行くのは役者。
T・キッチュはカッコ良いが、知名度は……。
“生身”で出演している中で多少でも有名なのはM・ストロングくらい?
あと、タイトル。
『ジョン・カーター』はインパクト弱いよね。
日本語で言ったら『中村孝一』的なタイトルだよね。
(全国の中村孝一さん、ゴメンナサイ……)
ンがしかし!
実際に観てみるとこれが予想以上に面白い。
膨大な世界観をストレスなく見せる軽快なテンポが◎。
それにもっと単純な話かと思いきや、
何気にヒネリの利いた敵(神官“サーン”)も登場してワクワク。
ラストのどんでん返しにもニヤリですよ。
そしてキャラの魅力。
主人公の超人ぶり・我関せずを貫こうとしながらも抑えられない正義感・
暗い過去の呪縛から再生してゆく姿がカッコイイ。
埋葬と戦闘がダブるシーンには涙が出た。
火星のプリンセスも、顔はさておき(←コラッ)
自分の気持ちを殺してカーターを地球に帰そうとする健気さが素敵。
忠犬ウーラもブサカワイイ(笑)。
が、描写不足な部分があるのも否めない。
主人公の過去やサーク族の族長と娘の関係がイマイチ不詳。
どちらも匂わせる程度しか描写されないのは残念だ。
あとはやはり、もっとダイナミックな画も欲しかった。
けれど断じて駄作なんかじゃないですよ。
そりゃ対抗馬の『バトルシップ』には画力もインパクトも圧倒的に負けてるが、
本作の方が話術は上だし、何よりユーモアと親しみ易さがある。
両作品とも3.5判定を付けたが、どちらかと言えば、僕はこっちが好みかな。
全米でヒットしなかったのが本当に残念。
<2012/4/15鑑賞>