「“ウォルト・ディズニーに捧ぐ”じゃないの?」ジョン・カーター マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
“ウォルト・ディズニーに捧ぐ”じゃないの?
主人公ジョン・カーターを演じるテイラー・キッチュの、なんとロング・ヘアーが似合わないことか。おまけに、のっけからワケもわからず店や砦で暴れまくる。この風貌と粗暴さだけで、カーターの一匹狼的な性格を表現したつもりなのだろうか。
舞台となるのはバスルームと間違えやすい惑星バルスーム。ここに登場する主な人間はカーターを含めて7人しかいない。あとはすべてエモーション・キャプチャーによるクリーチャーたちだ。
この7人が、なんとも魅力がない。せいぜいマーク・ストロングが演じた全宇宙の支配を企むサーン族教皇マタイ・シャンと、キーラン・ハインズ演じるヘリウム王国国王タルドス・モルスがしっくりくるぐらいだ。
ヒロイン、ヘリウム王国王女デジャー・ソリスのリン・コリンズは、スタイルはいいが演技が大仰で、そもそも華がない。
エドガー・ライス・バローズによる原作は、多くのSF作品に影響を与えたかもしれないが、映画としては後発で、その世界観とクリーチャーたちは「アバター」そのもの、スタントは「タイタンの戦い」で、随所に「スター・ウォーズ」のエッセンスを散りばめたような映像ばかりで新鮮さがない。
アニメではヒットを飛ばしたアンドリュー・スタントンだが、初めての実写映画で、いきなり超弩級の大作ではさすがに荷が重すぎたか?
ラストは機転が効いているうえ、SFらしい辻褄合わせが面白い。
それにしても、ウォルト・ディズニー生誕110周年作品といいながら、“スティーブ・ジョブズに捧ぐ”ってどうよ。
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