劇場公開日 2017年11月23日

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「祝復活!でもザックは無能だった残念だけど」ジャスティス・リーグ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0祝復活!でもザックは無能だった残念だけど

2022年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今までで一番スーパーマンが強そうでかっこいい。ひいきにしているヒーローが強く描いてあることが、単純にうれしい。もっと彼の出番を増やしてほしいと思うほどに。

コスチュームも、なんとなく青っぽさが増して、ダークな「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン」の2本よりも娯楽色が強くなった。フラッシュとバットマンの掛け合いも、面白いと思ったけど、これってもともとはロビンが担っていた役割だもの。

DCエクステンドユニバースは、もう座礁寸前と言ってもいい体たらくで、辛うじて、ワンダーウーマンと、スーパーマンのレトロヒーローに支えられている状態でしょう。始めからこの映画には問題が山積みだった。バットマンとワンダーウーマンだけでは太刀打ちできないほど強い敵が登場して、新戦力のリクルートを描いて、ネタバレの復活をやる。この内容を2時間で。。。

あきらかに破たんしている。監督が降板したのも、身内の不幸が本当の理由かどうか。スタジオ側の不満は、ヒーローが強そうに描かれていないことにあったんじゃないか。本当はクビになったんじゃないかと邪推してしまう。

最も分かりやすく監督の無能ぶりを証明した短いカットがある。

それは、ある場面で、1メートルほどの段差をバットマン、フラッシュ、ワンダーウーマン、サイボーグが次々に飛び降りるシーン。なんてことないつなぎのシーンだが、それぞれの特殊能力や、個性を強調できる絶好のチャンスなのに、みんな普通に飛ぶ。たとえば、サイボーグはジェットフロートで、フラッシュは瞬間移動で、バットマンは飛翔マントでというように、短いシーンでも違いを強調出来たはずなのに、何の工夫のあともない。だったら、いっそのこと削除してもおかしくないほど、意味のないシーンなのに、大幅にカットしたと思しき、本編から、しっかりこのシーンだけ残されている。

長尺が当たり前にまかり通っていたこれまでと違い、緊急にあとを引き継いだジョス・ウェドンは、分かりやすさを保ちながら、不要なシーンをどれだけ削り取るか秒単位でハサミを入れたはずだ。なぜこのシーンが使われたのか謎だと言っていい。「見る人だけ分かればいい。ザックはポンコツなんだ」という、ジョシュのメッセージに思える。

それから、映画会社の宣伝の下手さには、あきれるばかり。
バレバレのスーパーマン復活を、ネタバレ扱いにしてどうするというのか。

TVシリーズとはリンクする気なく粗製乱造になっているし、マーベルの充実ぶりに比べて、大きく見劣りする。関わっている人間が増えるほど、統括して管理できる有能な人材の不在が響く。実は、スーパーマンとフラッシュのスピード競争も、「スーパーガール」でやったばかり。何の新鮮味もない。

でも、そんなことを吹き飛ばしてくれるほど、スーパーマンはカッコよくて、強かった。だからこそいま一度基本に立ち返って、クラーク・ケントがなぜ正体を隠し、新聞記者である必要があるのかを、きちんと描いて欲しい。

もう、サイボーグとか、アクアマンとか、売りつけたい商品をはさみ込んでくるのはやめてほしい。単体で映画にしても、大コケするのが見えるから、この映画にはさみ込んできたに違いない。ワンダーウーマンの続編には、アクアマンのゲスト出演もありそうだなと思う。ただし、ガル・ガドットが「セクハラPが続投する限り、ワンダーウーマンには出ない」と宣言したことで、雲行きが怪しくなってきた。

企画が頓挫した「ザ・バットマン」によって、さらに前科を重ねたベン・アフレック。彼ほど、アメコミ・ヒーローに嫌われた男も珍しい。「デアデビル」「ハリウッドランド」「ザ・バットマン」と続けば、もうヒーロー映画は卒業してもいいんじゃない?

以上、前途多難が予想されるDCユニバース。今回は、何とか形になったものの、長期的展望は開けないままなのであります。

2017.11.28

うそつきカモメ