「デリカシーの欠如」歓喜の歌 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
デリカシーの欠如
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実際のママさんコーラスと落語を合体させた画期的な新作落語、弟子など褒めたことのない談志師匠も脱帽だったらしい。ダイナミックさを別にすればダブルブッキング騒動自体は珍しくもないのだからどう料理するのか映画人の腕の見せ所でしょう。
素直にとればコーラスを愛するの女性たちの群像劇として描くだけで感動作が造れるのにサイドストーリーの筈の会館の主任のダメ男ぶり、彼の改心物語がメインになってしまいました。
それは作者次第ですから文句は言えませんが画一的で安直な人物描写には落胆、これでは人情喜劇といえども雑すぎませんかね。
女性たちが健気で活き活き描かれるのに男どもは皆、残念、観客の女性たちに「うちの旦那もそうなのよ」と言わせたくて媚びを売っているのでしょうか、綾小路きみまろ流ですね。
また小林薫さんがうま過ぎて残念さも最悪、しかも残念なのは主任だけでない、足を引っ張るだけの副主任や自覚のないタクシー運転手、男気を見せてくれるかと匂わせて肩すかしの工務店の社長、、金魚マニアのパトロンや市長まで出てくる男たちは申し合わせたように残念だから途中で逃げたくなりました。
本作と同じようなサークルもの、お芝居に生きがいを見出す老婦人たちの活動を映画化「ぷりてぃ・ウーマン(2003)」も市役所の課長がヒール役だったが登場人物は人それぞれ、夫が陰で応援、良き理解者ぶりも描かれていて胸を打たれました、人物を描くとはそういうことでペンキで二色に塗るような雑な仕事は頂けません。
肝心のコーラスも添え物的でさわりだけしか聴かせてもらえない、できるならもう少しデリカシーのある人たちにじっくり造って欲しかった。
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