劇場公開日 2008年2月2日

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「歯間掃除をする野嵜好美。もしかしてそれは凧紐ですか?」歓喜の歌 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0歯間掃除をする野嵜好美。もしかしてそれは凧紐ですか?

2019年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 人気落語家・立川志の輔の新作落語を映画化した作品。年末のダブルブッキングによる騒動よりも、『ジャーマン+雨』の野嵜好美が楽しみだった・・・と、もしやコーラスガールの中の一人ではないかと心配していたのですが、さにあらず、文化会館職員の一人であり、登場順も主演の小林薫に次いで2番目。登場しただけで笑ってしまいました。それにしても存在感ありすぎ!

 3分クッキングとはわけが違うダブルブッキングだというのに、事の重大さもわからないほど緊迫感のなさ。しかし、これは若干の公務員に対する風刺とダメ人間の典型でもあるかのような主人公を見事に表現していました。悪いことは重なるもの。ダブルブッキング事件だけではなく、飲み屋のツケを払わされる羽目にもなったし、離婚問題も年末になって深刻化。どうせ有閑マダムたちの道楽なんだろうとタカをくくっていた主任もラーメンとタンメンの間違いによって彼女のたちの困惑ぶりを理解する・・・

 予告編だけでもストーリー展開がわかるほどであり、どうせ解決策は合同コンサートに落ち着くんだろう・・・などと冷めた目で見てしまっては、この主人公の生き方とさほど変わらない。ちょっと反省、塩見三省です。民間の左遷と同じような降格人事、吹きだまりと自嘲するほどの公的施設の職場。そしてそこに働く職員たちがとてもリアルに描かれていて、仕事の生きがいを感じることができないほどの環境から、ママさんコーラスの事件によって生きる喜びを見出す過程がとても良かったのです。

 セレブな奥さま方による「みたまコーラスレディ」と、家事やパートで忙しい主婦たちによる「みたま町コーラスガールズ」。対立する構図の中でも、スーパー社長の由紀さおりと威勢のいいスーパー店員の平澤由美がとてもいい。特に平澤由美のソウルフルなソロパートには痺れてしまいました。もちろん由紀さおりもいいし、姉の安田祥子もどこかに参加している(気がつかなかった)。そして、竹田の子守唄には泣かされたよ・・・

 サントラ盤も欲しくなったし、由紀さおり・安田祥子の歌も聴きたくなりました。自宅で聴く場合には寝ころんで聴くんじゃなく、もちろん正座ですよ、正座!

kossy