「Going My Way映画」GOEMON かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
Going My Way映画
自ブログより抜粋で。
--
映像で魅せる映画として、カット割りや決めのポーズがいちいちカッコイイつもりなんだということは理解できる。
しかし、まだまだ未熟な点が散見されるのが惜しい。
物語は一応、織田信長暗殺後の豊臣秀吉の統治時代から関ヶ原の合戦あたりまでの歴史に沿っているが、史実通りをやるつもりなんてさらさら無いGoing My Way映画なので、あくまで独特の世界観自体を堪能するのが吉。
誰でも知っているであろう歴史上の人物や逸話をおもちゃにして、時代に翻弄される五右衛門と茶々(広末涼子)の悲恋が描かれる。
相変わらずの和洋折衷な美術やコテコテのCG映像を許容できれば、かなり独りよがりな印象だった『CASSHERN』よりは、はるかに一般受けもするだろう内容に仕上がっている。
まずは一見して好き嫌いが分かれるであろう独創的な衣装や美術は、この監督の個性として肯定的に評価したい。
リアリティとは真反対の、こういういい意味で“デタラメな映画”はあってもいいと思う。
例えとしてふさわしいのかわからないけれど、紀里谷監督作品はデフォルメをよしとする歌舞伎の舞台でも観るような心づもりで観た方がいい。
ただ脚本は稚拙でドラマとしては底が浅く、子供っぽい印象がぬぐえない。
全体的には単純明快な娯楽映画と割り切れば楽しめもするのだが、とってつけたかのように「貧富の差」なんてことをセリフにされると少々こそばゆい。
ご自慢のCGの描きこみも、紙芝居のようだった『CASSHERN』からは進歩していると思うが、前作同様作り物臭さがついて回り、派手なテレビゲームの域を出ていない。今時この程度の映像では微塵にも凄いとは思わないし、逆に安っぽくもある。
「絶景」も絵に描いているのが丸わかりでは共感しようがない。しょせん口だけの説明ゼリフに感じてしまう。
そんな感じで不満な点は多々あれど、監督の歩み寄りなのか成長なのかはわからないが、『CASSHERN』よりかなり見易い娯楽映画となっていたことで、一応次回作も楽しみになってきた。
今作も内容的には平凡という感想しか持てなかったが、いつか“アタリ”を出すんじゃないかという期待感はある。
ただこの感覚は、作品の方向性こそはまるで違うが、やはり漠然とした期待感だけで毎回観てしまうここ最近のM・ナイト・シャマラン監督に通ずるものがあって、ちょっと心配ではあるのだが。