「短歌を一首『傷抱え 凍る秒針 夢遠く 瞳に残る 永遠(とわ)のデッサン』by全竜」フローズン・タイム 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
短歌を一首『傷抱え 凍る秒針 夢遠く 瞳に残る 永遠(とわ)のデッサン』by全竜
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乳房を露わにされた若き裸女が立ち尽くすパッケージが強烈でエロスのイメージが先行しがちだが、ストーリー自体は、彼女に振られたショックで不眠症になってしまった美大生が、スーパーの夜勤中に時間を自由に静止させる能力を身に付け、恋と芸術に苦悩するセンチメンタルな心中を繊細に描いた青春ドラマの傑作である。
時間を思い通りに操れても、人間の心は上手くイカない皮肉なメッセージをイギリス独特の少し毒っ気を含めた自虐的ギャグで盛り込んでおり、最後まで飽きない。
著名な写真家がメガホンを握っているため、スローを多用したゆったり流れる世界観に実力が輝いている。
そのセンスは金縛りに女性を脱がし、全裸にして裸婦画デッサンに勤しむヌードシーンにもためらいなく発揮されており、女性こそ美しき被写体の頂点である事を証明していると云えよう。
しかも、裸婦画を描き終えると、彼は1人1人裸の女性に服を着せて元通りに戻す。
イタズラは一切しない。
紳士の国・イギリスの気品の良さが垣間見えて好感が持てた。
まさしくエロスの美学である。
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