「角川春樹の読み違い」椿三十郎 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
角川春樹の読み違い
2007年公開、東宝配給。
【製作】:角川春樹
【監督】:森田芳光
【脚本】:黒澤明、菊島隆三、小国英雄
【原作】:山本周五郎『日日平安』
主な配役
【椿三十郎】:織田裕二
【室戸半兵衛】:豊川悦司
【井坂伊織】:松山ケンイチ
なぜ、本作が製作されたのか?
このあたりの事情はWikipediaに詳しい。
簡単に言えば、
刑務所暮らしを終えた角川春樹が、
キムタクの『武士の一分』と
織田裕二の『踊る大捜査線』を見て、
「うん、織田裕二で時代劇を撮ったら儲かる!」
と思ってしまったと。
そして、『椿三十郎』と『用心棒』の再映画化権を購入し、
それぞれ、森田芳光と崔洋一にメガホンを取らせようとした、ということなのだ。
悪く言えば、
角川春樹の完全な読み違い、
お遊び、戯れ言でしかなかった。
1.織田裕二は頑張った。森田芳光も頑張った。
織田裕二は良く頑張った。
だが、同じ脚本で三船敏郎が演じた役をやらせては可哀相だろう。
キャラが違う。
守備範囲が違う。
得意ジャンルが違うのだ。
監督の森田芳光も気合いが入っていたようだ。
同一脚本でのリメイクは、森田の提案だったとされている。
出来上がりが、オリジナルより長い。
だが、キャスティングの全権はなかった。
2.結果として興行的に大失敗
まったく期待外れに終わってしまった。
『踊る大捜査線』の四分の一以下の売上に終わった。
もちろん、
興行面は、作品の良し悪しとリンクしないことも多い。
それを直接悪く言う気はない。
私にとって良かったのは、
興行収入が振るわなかったおかげ?で、
崔洋一の『用心棒』はお蔵入りしたことだ。
犠牲者を増やさずに済んだ、
と私は思っている。
最近、『生きる』のリメイク作品を観た。
やはり、リメイクは難しいのだと思う。
☆1.0
角川さんが金儲けのために作ったと聞くと、なんか残念なのですが、織田裕二さんの椿三十郎、かなり好きでした。
何より森田監督が、全く同じ脚本で作ったというのが何より驚きで、なのに全く味の違ったものになっていて、よかったです。
でも、黒澤さんのファンの方からすると、冒涜されたような気持ちになるのかもしれませんね。