「悪役だが一流実業家の顔をもつ主人公」アメリカン・ギャングスター Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
悪役だが一流実業家の顔をもつ主人公
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総合:80点
ストーリー:85
キャスト:80
演出:80
ビジュアル:75
音楽:65
「トレーニング デイ」で見た目も行動もかなりの悪役を演じていたデンゼル・ワシントンであるが、今回は悪役と言いつつもいつも通りの颯爽とした役回り。彼のやったことは、自ら危険を冒して未知の地に乗り込んで複雑な流通経路を省いた製造元直接仕入れ体制を確立して製品原価を下げ、高品質の製品にブランドをつけて販売し、自分のブランド価値を破壊するものを除去する。より良い物をより安く提供し、顧客と自分との両者の間に相互勝利の関係を築き繁栄する。そして仕事を離れれば良き家庭人。扱っている物が麻薬であるというだけで、やっていることは一流実業家そのものである。彼のやったことと、のし上がっていけた理由がとてもわかりやすくて、犯罪者といえども彼の行動と性格と能力には思わず共感してしまう人物であった。
ラッセル・クロウの清廉な刑事役もいい。腐敗が当たり前となっている警察内において、その信念を貫き通すことは困難なこと。ワシントンと対決し調査を続け彼を逮捕することも面白かったのだ。だがそれのみならず、その後に彼の本当の目的とそれに対するしっかりとした実績が出てきたのもすっきりとした。ワシントンほどには目立たない存在ではあったが、最後のこの身内の腐敗一掃によって拍手喝采で、私の中ではここで彼の役回りの評価が上がった。
二時間半を超える大作らしいが、テレビ版で見るとわずか2時間17分、しかもコマーシャルつき。相当に切られた場面があるようで、これでは作品を堪能したとは言い難い。いずれ機会があればレンタルか何かでノーカット版を見てみようと思う。
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