「ゾクゾクする大人の恋愛サスペンス」親密すぎるうちあけ話 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾクゾクする大人の恋愛サスペンス
クリックして本文を読む
ゾクゾクする程の刺激に溢れた大人の恋愛サスペンス。
偶然か?それとも故意か?知り合った2人はズルズルと定期的に向かい合い不思議な‘腐れ縁’は続いてゆく。
それはまるで一度踏み込んでしまったら、もがけばもがくほど深みに嵌ってしまう蟻地獄の様に。
懐かしい玩具が並べてある男の仕事場は父親が営んでいた同じ場所、同じ仕事。いつからかここは世界の縮図になった…そこにやって来たのは女郎蜘蛛かそれとも女蟷螂であろうか!女の赤裸々な告白にたじろぐ姿はまるで子供の様である。
窓の向こうを覗き見する姿に続き、顧客の話を上の空で聞いている場面はただ左右を見ているだけなのに男の心情を表す最高の演出です。
ここは[ヒッチコック映画術/トリュフオー]の中で『裏窓』について話し合っている《クレショフ効果》に基づくモンタージュ理論を思い出させてくれます。その後テレビ画面上には『白い恐怖』らしき映像が映ってるのですが…。
人の心を覗き見する楽しみに、時には本心を見透かされる困惑と“理想の耳”になろうとする姿は観ていて滑稽であり、また羨ましくもあった。
久しぶりにパトリス・ルコントの遊び心満載な演出を堪能しました。
(2006年6月13日日比谷シャンテ・シネ1)
コメントする