「ディランの素顔がちょっとわかった」ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
ディランの素顔がちょっとわかった
ボブ・ディランというとどうしても社会派シンガーというイメージがあります。でも、個人的にはそれとはまったく異なるイメージを持ってました。この人は、要はずばぬけた時代を読み取るセンスと、そんな中でメッセージを作りだすのがうまい人なだけで、まったくの社会派でないのではないかと。その時のうけるメッセージがたまたま社会派になってしまただけなのだと。
スコセッシが手かげたこのドキュメンタリー映画の舞台は60年代。学生運動やら人権運動、キューバ危機の時代ですね。そんな中で保守的な音楽が流行っていたので、当時のディランの音楽スタイルやあの風貌、そしてメッセージはさぞかし衝撃的だったと思います。そして、音楽で世界を変えると叶わぬ夢を多くの人が描き始めた時代だったのでもないでしょうか。その流れをつくりカリスマへと一気に駆け上がったディラン本人からの独白は、そんな自分の読みを裏付けた気がしました。
それと、資本主義は多様性がポイントであるといことがよく解りました。「ボブ・ディラン」という当時でいう「カウンター・カルチャー」でさえも取り込む資本主義は、ある意味懐が深い。そして、それを一番自覚してたのはディラン本人だったと思います。どこか道化的なディランは、ようはセンスが天才的なだけだったのです。
コメントする