ペッピーノの百歩のレビュー・感想・評価
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まるで『ゴッドファーザー』に対抗したかのような裏ゴッドファーザーのような映画だ。
シチリア・マフィア・ファミリーのパーティで、少年ペッピーノは詩を朗読する。父ルイジにとっては頭のいい息子は自慢であり、将来はマフィアの首領のようになってほしいと願っていた。しかしペッピーノは政治運動に走り、空港滑走路建設反対闘争でも反マフィアを主張する。 父ルイジのいとこがマフィアのドンであることから、父と母が必死の想いで息子の行動を阻止しようとするが、ついには政治的メッセージを発信するラジオ局も作ってしまう。 最後には父と息子の確執を取り払って親子愛を説く映画になるのではと想像していたのだが、予想ははずれ、さらに彼はエスカレートして徹底的にマフィアを糾弾する行動をとったのだ。こうした反マフィアの運動をすること自体がマフィアに狙われる要因だらけなのだが、父にも言われたことがあるように、首領トーノから「お前はマフィアに守られてる」と諭され、ペッピーノは戸惑ってしまう。しかし、ここから出る彼の行動は、反マフィアの信念を貫きとおす燃える男となったのだ。 説明的な時間の経過をかなり省いてあるような編集で、ちょっとだけ不満が残りましたが、監督の政治的に右だとか左だとかを感じさせたくないという意図もあったのだと想像できます。途中、記録映像の映写会を取り入れ、表面的な記録と隠された真実についてを語るシーンがありましたが、この主張がそのまま映画全体のテーマと被さってペッピーノの真実を観客に読み取らせようとしたのだと思います。ラストでの棺を担いだデモのシーンがあるのですが、途中何度も出てきた意外な人物も参加しているのが面白かったです。 音楽もよかったです。アニマルズ、ジャニス・ジョプリン、プロコル・ハルムと懐かしさいっぱいでした。そして、ヌーディストたちにドキリ・・・
イタリアならでは
イタリアならではの映画で、日本人の私としては主人公のペッピーノに共感を感じづらかったです。
ストーリーは、シチリアのマフィアと関係の深い家に生まれたペッピーノが、マフィアにおびえて口を閉ざす社会を軽蔑し、変化を求めて危険を顧みず、政治的なムーブメントを市井に訴えかけて行く様を描いたものです。
ペッピーノに対して私が感じたのは、テンポのよいユーモアを交えて人々に訴えかけひきつけるカリスマ性と、人生経験の薄い20歳そこそこの男性が、根拠の薄い情報を扇動的に伝えてる軽薄さをです。
もっとも監督の狙いがマフィアとの決別に乗り出せない大人社会への批判、そういった背景での若い活動家の現出とはかなさを描き出すことにあると思え、その意味では狙いがうまくいった映画です。
個別に良かったのは、マフィア社会イタリアの空気感や時代が転移して行く様子などはなまなましく感じる事が出来る点です。特にマフィアの集会での会話のシーンでの人間関係の緊張感は日本の任侠映画と通じるものがありおもしろいです。
ノンフィクションと最後に知り、ストーリー構成の粗さを納得できました。演出には描いた時代によるものかもしれませんがダサく感じました。
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