「雑だがイメージを刺激するヴィジュアル」少年と犬(1975) コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
雑だがイメージを刺激するヴィジュアル
ほとんど内容がない。
15分くらいの短編映画を、無理矢理100分にしたような間延び感。
ワンアイデア、一つのオチだけ。
短編小説を映画化したらしく、いろいろ盛ったのかもしれない。
それゆえか、全体的に雑。
話の展開も、演出も雑。
なんか、『キンザザ』と『ザルドス』の間くらいな「世界観」の雑さや、『マッドマックス2』と『新・猿の惑星』の間くらいな「設定」の雑さを感じました(因果関係は逆で、本作のイメージが『マッドマックス』シリーズに影響を与えたらしいですけども)。
と、コテンパンに書きましたが、よいところも。
とにかく犬が可愛かった。
主人公・ヴィックが女とヤっている時に、ピストンの振動で上下するソファーに寝てた犬の目が虚無に満ちていくあたりのシーンには大爆笑。
ヴィックが若き日のドン・ジョンソンで、のちにプレイボーイとして結婚離婚浮気を繰り返し、浮名を流した彼のイメージ通りの「ただヤリたいだけのガキ」なのが、ハマり役でした。
タイトル通り、少年と犬のキャラを愛でるならば、悪い作品じゃないかもしれません。
また、今観ると陳腐ですが、冷戦による核戦争への恐怖、ウォーターゲート事件、白人至上主義の再隆興と黒人の人権運動、オイルショックに経済不安など、1970年代にアメリカを覆っていた社会不安を溶け込ませていることは理解できました。
発表当時はきっと、核戦争後の荒野や地下都市など、ビジュアルが斬新に思われたと思いますし、それが他の映画に影響を与えた理由のように思いました。
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