劇場公開日 2023年5月19日

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「日本で放映されることがそもそも想定されていない??」少年と犬(1975) yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5日本で放映されることがそもそも想定されていない??

2023年5月22日
PCから投稿

今年166本目(合計817本目/今月(2023年5月度)23本目)。

そもそも、海外でも超ドマイナーな作品で、たまたま映画内で参照されている「特定の年月」とリアル年月が近いという事情があったので、ごく狭い範囲で公開されているという特異な事情があるようです。また、公式サイトやここの予告編ほかを見ればわかる通り、1970年代の映画なので、現在(2022~23)の事情から考えると明確に考え方が異なる点もあります(なお、「字幕の一部において不穏当な表現~」の断り書きは一切なし)。

公式サイトによると、いわゆる「ブラックユーモア」を描いた映画という扱いで、それは映画を見れば「断片的には」わかるのですが、おそらくこの映画の述べたい「その何がユーモアなのか」という点を7割でも理解するのは「リアル当時の視聴者」しかいないのではないか…と思えます。また、かなりの部分でアメリカ文化を参照しており(特に後半。キリスト教文化)、ここも日本ではなじみが少ないので(日本ではカトリックとプロテスタント以外の宗派以外に触れることがほぼほぼない)、かなり理解が困難です。また、一応にもPG12の扱いですが、下手するとR15喰らってもおかしくないかなという字幕(描写はうまくかわしている)もあり、うーむ…といったところです。

どうも原作小説→当時の映画(あまりヒットはしなかったが、熱狂的なファンはいたらしい)→突然になって2023年の日本での公開…という急なスケジュールだったようで、字幕からみて何を述べたいのかわかりにくい点はかなりあります。また、一部は明確に現在(2022~2023年)の考えでいうと配慮を欠いているかなと思える点もあります。

決して駄作というのではないし、「当時の映画の文化事情」を知るには良い映画ではあるし、100分を切る程度のちょうどよい長さではあるものの「具体的に個々個々何を述べたいのか」がはっきりしない点が多いので(固有名詞レベルではわかっても、イベントごとのつながりがよくわからない)、リアルアメリカ文化知識を要するという特異な映画です。

また、現在では公開されている映画館が少ないですが、特に前半、いわゆる「金属音」が異様にうるさい映画です(正直、耳が壊れそう…)。この点も踏まえて座席指定をされることをお勧めします(私は一番後方からみましたが、そこにスピーカーがあったのかな…)。

採点としては以下を考慮したものです(4.4を4.5まで切り上げたもの)。

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 (減点0.3/現在の日本(2022~2023)で見ることが想定されていない?)

 ・ かなりの部分で、「当時の」アメリカの文化事情(もっとも、旧ソ連との冷戦時代などは常識扱いしてよさそう)を求められるのが厳しく、個々個々「おもしろい」点はあるものの、何をもって「映画の主義主張なのか」という点がはっきりしない(おそらく、当時のアメリカの文化事情等のリアル知識が要求されている?)点があります。

 ※ おそらく、映画内で具体的に述べられる「キリスト教文化に関する事項」は常識扱いされているように思います。

 (減点0.3/第三次世界大戦に対する配慮が足りない) ※ 一部の国で放映が困難

 ・ この映画は「第四次世界大戦後」の荒廃した世界を描く映画ですが、「第四次」という以上は「第三次」という設定もあり、それは映画内では1950年6月~と表示されます(字幕および、ここの予告サイト)。

 ただ、この「1950年6月~」というのは明らかに朝鮮戦争、キューバ危機、ベトナム戦争ほかですが、そのうち朝鮮戦争はそもそも「終結していない戦争」です(あくまでも休戦状態にあるに過ぎないので、「第三次世界大戦」の終結が観念できない以上、「第四次世界大戦」の勃発も観念できない)。この点の配慮が欠けているのは、ちょっと「当時の歴史認識」としてもまずいのではなかろうか…というところです(もっとも、これが国内レベルで問題になるのは韓国・北朝鮮にすぎず、韓国では「歴史事情と映画の描写とは切り離して考える」という、日本と同じような「思想とエンターテイメントは別」と考える方が多いと思いますが、韓国ではケチがつけられても仕方がない)。
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yukispica