「‘70年代によく作られた低予算SFモノではあるが存在意義も」少年と犬(1975) アンディ・ロビンソンさんの映画レビュー(感想・評価)
‘70年代によく作られた低予算SFモノではあるが存在意義も
’60年代後半〜70年頃のアメリカン・ニューシネマの時代からまもない次期、大手スタジオもそれまでの大予算の超大作映画での収益に苦戦し、経営難の打開策として、アイディア勝負的低予算(ニューシネマ的手法)映画に手を出し始めて行った。
その手の映画だと、当時は我が国では劇場未公開、或いはお蔵入りとなった作品も結構ある。
この作品もそうした中、よく作られた低予算SFモノの一本。
したがって、未公開に終わったという事実も含め(理解し)て、極端な期待は禁物ではあるが、「時代相応」にを念頭に観ると良いのではないかと思う。
主演は若き日のドン・ジョンソンであるが、これ以前の主演デビュー作で主題歌が有名な「愛のマジック・ガーデン」も未公開だったので、‘70年代、我が国では無名な存在だったと言える。
この作品のポイントは、
原作がネビュラ賞作品のSFもので、今作自体もヒューゴー賞受賞作品である事で一定の評価を得られている事。
監督が今作が唯一の一本限りである、俳優のL•Q•ジョーンズで、ペキンパー映画の常連である絡みからか、今作にジェイソン・ロバーツが出演している事も見逃せない。
また、制作が75年であり、77年の『スター・ウォーズ』や79年の『マッドマックス』、81年の『マッドマックス2』よりもかなり早い時期の作品であり、その独特の未来感や設定等、以降の作品へ与えたと思われる影響も否定できない。
個人的には逆に、核戦争後の荒廃した未来(の荒野、或いは砂漠地帯)世界に、「地上と地下のそれぞれに独自の生存圏を有する集団が存在している」点については、今作よりも少し前の作品である『続猿の惑星』の世界観、設定を彷彿させられた。
オチもさらっとした描写で流しているが、映画の冒頭の相棒への態度(絆?)と、自身が表明していた“願望”の関係が、エンディングではすっかり逆になったところは(行いを深く考えるとキモイが、ブラックが効いてて)なかなか良かったかもなぁ、と。
ソッちの執着心よりも、もっと大事なものが有ると理解した(成長した)か……
しかし、先入観無く観たら、アレは想定外なんではないかと思ったが、どうでしょう?