山猫のレビュー・感想・評価
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晩餐会のシーンがすべて
うん、あまり観ているわけではないけど、今まで見たバート・ランカスターの中で最も良かったです! こんな端正な役もできるんだと気づかせていただきました。
で、作品の方ですが、前半は少し間延びしていた感じもあったのですが、後半の晩餐会のシーン! もうこれだけで十分でした! たぶんこのシーンを撮りたかっただけなのではという気さえするぐらいに充実していたと思います。そしてこのシーンを支えているのが、やっぱりバート・ランカスターの憂いでしたね! それが常に底流に流れているからこそ、煌びやかなダンスもそれだけには終わらないもの悲しさを演出していました。
ラストシーンもまた、印象深いものでした。
結局、時代は若者で変革される
色々な本を読んでいる内に、フェリーニとタルコフスキー、そしてヴィスコンティの映画はいつか必ず観ようと思っていた。できれば映画館で。そんな事を願っていた矢先に、ヴィスコンティの生誕百周年ということで、イタリアが国家予算を投じて過去の名作のフィルムを修復、復元した。本作はその完成を祝って、昨年「ヴィスコンティ生誕百周年祭」という名で催されたイベントで上映された一作です。
これは19世紀後半、イタリアに民主化運動が起こり、ある名門貴族の長である初老の男(バート・ランカスター)とその家紋が没落するまでの過程を描いた物語。動乱の時代にそれでも何も変わらないかのように貴族の生活を営む男は、目をかけていた甥(アラン・ドロン)が革命軍に参加することを知る。さらに甥は身分の違う女に恋をし、結婚することを決意する。何も変わらないと思っていた主人公は、このようにして時代が確かに変わっていることを少しずつ自覚していく。民主化とは結局、変化に情熱を燃やせる世代が草の根となって足もとから動かしていくものなのだ。自分が年を取ったとき、かならず本作のような状況に出くわすだろう。
この完全復元版で追加され、1時間に及んだラストの晩餐会が見もの。当時の晩餐会を復元しようというヴィスコンティのあくなく執念と申しますか、腐敗した貴族たちの宴の様を圧倒的な色彩美とスケールで描いています。画面からなにか精神の結晶の末にながれる摩訶不思議な力が、このラストには流れています。固唾を飲んでしまいました。
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