群盗、第七章のレビュー・感想・評価
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タッチは軽いが… 題材、かなりヘヴィ。
あー、面白かったー
相当に陰惨でヘヴィな題材(殺戮、略奪、拷問、裏切り、etc..)を扱ってるのに、なんともオフビートな軽いタッチで展開していく。
所謂、輪廻転生モノ(中世〜共産主義の革命〜ソ連による支配〜内戦、そして現代のパリ)に一見は見えるが、現代のパリ以外のストーリーは殆ど主人公の夢と見えなくもない。
その主人公は、昔の世界では略奪や所有や独占といった業を繰り返すのだが、現代のパリではホームレスとなっていて、そういった業からは解放された存在となっている。
この対比によって、中世やソ連時代が、ある種おとぎ話や夢物語のようにも見えてくる。
しかし、内戦での市街地戦や、ソ連時代の諸々のシーンは、イヤになるほどリアル。
老婆が秘密警察に連行された直後、空の車椅子が坂を下って行って、それが倒れた瞬間、鳥が飛び立つショットとか…
ヘヴィでズシリと来るショット多々あり。
ワンシーン・ワンショットが効いているのは、間違いないが、現実の出来事のように見えるのは、まさに当事者としての体験ゆえか。
まあ、夢を見ていて、夢の中にいる時は、まさに現実を生きているとしか思えていないから、そういった点でも、よく出来ている。
もっとブラック・ユーモアを効かせて、あからさまにコメディ路線でも面白かったと思うが…
かつて母国をソ連に蹂躙され、自由を奪われていた当事者本人でもあったイオセリアーニ監督としては、題材が題材ゆえ、そうそう簡単に、お笑いへの転換には抵抗があったか?
ちなみにタイトルの中にある「第七章」というのは、過去から現代に渡る7つのチャプターのこと?
であれば、7つ目は、試写室ということ?
それとも、現代のパリで「第七章」となって、ようやく掠奪の業から解放されたということ?
あるいは、そのパリでワインを分け合って飲んでいた主人公達と重なる、ラストのグルジアでの牧歌的な郷愁感こそ「第七章」への始まり?
尚、タイトルは原題の直訳で『山賊、第七章』の方が寓話っぽくて、よかったと思う。
まあ、確かに登場人物たちは「群盗」な連中ではあったが…
タイトルが説明っぽくなっちゃうのは、粋ではないよ。
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