劇場公開日 2005年7月9日

「ナチスとの最期」ヒトラー 最期の12日間 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ナチスとの最期

2016年7月15日
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題名がヒトラーだが、原題は、没落。ヒトラーと、その周囲の人々の落ちっぷりを描いた。

合理的な動機であれば、戦争をもっと以前に終わらせられたのかもしれないが、
思想的、感情的な動機による戦争は、全てが滅ぶまで延々と辞めないものなのだということを痛感。どこまで追い詰められても、降伏をしないとする、頑固さが見ていて痛々しい。

日本の戦争もまさに同じであった。日本とドイツはかなりにもの同士だと思える。だから、他人事ではない気がしてならない。

ヒトラーという精神的主柱を失いつつありながらも、それでもヒトラーにすがって生きる人々。
ヒトラーの言ってることが机上の空論、無茶無理無謀なことでも、それに反抗しない、できない。ヒトラーの弱さとともに、周囲の人々の弱さや脆さを描いた一級の作品。

落ちっぷりを描きつつも、その中でも懸命に生き、人としての正しさを貫こうとする人々も同時に描かれているのもまた面白いところ。

夢見る電気羊