プライド 栄光への絆のレビュー・感想・評価
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泣きそう
野球の映画は山ほどあるのに比べてフットボール映画は極めて少ないです。
フットボールの試合進行に合わせて話が進むので、フットボールのルールや用語を知らないと厳しいでしょう。レビューも殆ど知っている人ですね。
スポ根は日本人の専売特許と思ったら、アメリカ人の方が一万倍好きみたいです。
昭和の運動部の経験がある人間なら最後のヘッドコーチの訓示には大泣き必至。
最初から中盤にかけて結構淡々と進むし、あまり明るくないし、それほどのドラマチックもなかったのでまあまあ4点かな?と思いきや、最後の試合のグルーム感抜群で一気の5点でした。
但し繰り返しますがルールわかないと心臓バクバクにはならないです。
Now I wanna be football's dog. まるで長編スポ根漫画を読了したかのような満足感!
1988年を舞台に、テキサス州オデッサにあるパーミヤン高校のアメリカンフットボールチーム、「パンサーズ」の闘いを描く、実話を基にしたアメフト映画。
チームのテールバック(ランニングバックのポジションの一つ。Iフォーメーションの時に一番後ろに位置し、ボールを持って走るオフェンスの要。詳しくはよく知らない。)であるドンのガールフレンド、マリアを演じたのは、本作でスクリーン・デビューを果たしたアンバー・ハード。
原作はH・G・ビッシンガーの書いたノンフィクション小説「Friday Night Lights: A Town, a Team, and a Dream」。
因みにこのビッシンガーさんは、本作の監督ピーター・バーグのいとこ。
小説のタイトルにもあるように、この作品は「a Town」が重要。チームを取り巻く街の姿を描くことこそが、本作の主題といっても良いでしょう。
「Friday Night Lights」は本作の原題でもあり、これは州大会のシーズンが始まると毎週金曜日の夜に試合が行われ、スタジアムに火が灯るから。
日本に住んでいるとアメフトにあまり馴染みがないが、おそらく自分と同世代の男子なら『アイシールド21』を読んでいる筈なので、なんとなくルールはわかるという人は多いと思う。
全くアメフトのルールを知らない、「QB?RB?それ何?」レベルの人だと本作の鑑賞は厳しいだろうけど、『アイシールド21』を読んだ程度の知識があれば十分にお話についていけると思います。
アメフトの人気はアメリカでは絶大。バスケや野球よりも人気があるみたい。
「NFL」というプロリーグの1年間の収入は130億ドル以上と推測されており、日本円では1兆円以上…!🤑
ちなみに野球の「MLB」が年間100億ドルくらいらしいから、金額で比べてもやはりアメフトの方が野球よりも人気が高いと言えるでしょう。
また、アメリカの歴代テレビ視聴率ランキングのトップ10のうち8つがNFLの優勝決定戦、通称「スーパーボール」。
2021年の平均視聴者数は9,200万人。コレは過去15年で最低らしいが、それでもこれだけの数字をマークしている。なお、最高視聴者数は2015年に記録した約1億1400万人だということです🤪
(ちなみに、トップ10のうち、スーパーボール以外の2つはアポロ11号の中継とニクソン大統領の辞任スピーチ。)
とまぁ、とにかくアメリカにおけるアメフト人気は異常な訳です。
DVDの特典映像で監督?が言っていたように、アメリカにおけるアメフトとはもはや宗教であり、それは高校生の州大会ですら、まるで15世紀に立ち返ったかのように、宗教戦争の様相を呈するようになる。
アメフトの州大会とはただのスポーツの枠を超えた、街と街との宗教的対立なんです。
決勝戦のハーフタイムで両校ともにお祈りの場面が映し出されたのは、意図的な表現だった訳です。
州大会ということで、始めは日本で言う夏の高校野球の地区大会みたいなものかと思っていたが、そんなものとは比べ物にならない狂気を帯びていることがだんだんと分かってくる。
州大会で優勝すると貰うことのできる金の指輪こそが、田舎町オデッサでは王冠に匹敵する程の栄光の象徴である。
だから映画中、殊更にこの指輪が強調される。
みんなこの指環の持つ魔力に操られており、コレはもう『ロード・オブ・ザ・リング』みたいなもんです。
この指輪を街にもたらすことこそが、パンサーズ(通称mojo、パワーや生命力、魅力なんかを意味する言葉だが、元々はブードゥー教における魔力を持ったお守りを意味する)の使命である、と誰もが思い込んでいる。
この指輪の争奪戦の手段として、アメフトが用いられているだけで、本当は誰もアメフト自体には感心がないんじゃないのか、と観客は感じるだろう。
ティーンエイジャーのスポーツを描いている作品でありながら、映像のトーンは暗くて陰鬱。パンサーズのメンバーや監督の苦悩が前面に押し出されており、誰も楽しそうではない。一体彼らは何のためにアメフトをやっているんだろう?と観客は考え込んでしまう。
しかし、その陰鬱さはクライマックスでひっくり返る!
街に栄光をもたらす為?違うだろっ!ただ、身体がアメフトを欲するからアメフトやってるんだ!
と言わんばかりの迫力の試合展開!反撃を開始したパンサーズのバックで流れる音楽はザ・ストゥージズの「I Wanna Be Your Dog」!
「今俺はお前の犬になりたい」という歌詞の通り、アメフトに支配された選手たちには、もはや栄光だの親との確執だの奨学金だのといったことは眼中にない。
ただ目の前の敵を潰すために命をかけるその姿に、胸が熱くなったー!
まるで長編スポ根漫画を一気に読んだかのような満足感が得られました🥰
ドキュメンタリーのようなリアリティのある映像、特に試合の映像の迫力は半端ない。反面、モキュメンタリー作品によくある、手振れのような揺れる映像が多用されるので慣れるまでは結構違和感がある。
あと、キャラクター一人一人の掘り下げがもっと欲しかったような気はする。ここは尺の問題もあるから仕方ないかな、とは思うけど。
ドラマにしてじっくりと描いたら面白そうだけどな〜、と思ったら2006年〜2011年まで、ピーター・バーグ監督自身がプロデュースするドラマが放送されていたんですね。分かってんなぁ、ピーター・バーグ。
ちょっと『ロッキー』オマージュみたいなシーンもあったりして、スポ根もの大好きな自分にとっては大満足な一本だった!
学生スポーツにまつわる悲喜交交を味わいたい方には是非オススメ!
余談だけど、大体映画に出てくるアメフト選手(大体クォーターバック)って、白人で、女にモテて、やな奴で、すぐ死ぬ。
本作を観て、ちょっとだけアメフト選手に対する偏見が消えました🤣
アメフト映画は実話が多い。
毎週金曜日になると、小さな街オデッサの店は全てクローズし、人々はフットボール・スタジアムに集まってくる。この街のパーミアン高校パンサーズは過去何度も州優勝し、住民たちは“GO!JOMO”と地元高を応援することが生きがいとなっているのだ。コーチたちも勝利するための目的は「街を守るため」と言うほど、高校のアメフトは人々の生活に密着したスポーツ。過去に優勝経験のある先輩や親たちは優勝の証しである指輪をはめ、誇らしげに現役選手を叱咤激励する。全編通してこの指輪が伏線となっているのです。
シーズンが始まり、好調な出だしで勝利するパンサーズであったが、スーパースターである中心選手のブービーが靭帯損傷で欠場を余儀なくされる。次の試合にはスター選手を欠いたことで負けてしまい、もう優勝は無理だと思われていたところへ意外な伏兵が大活躍・・・と単純なストーリーではあるが、元は実話であり、アメフト・ドキュメンタリーという内容を敢えて小説化したかのように物語は進みます。このドキュメンタリー・タッチの雰囲気を損なうことなく、手ぶれの多いハンディカメラを中心に映像化していました。目がちかちかするかも・・・
選手には、スター選手のブービー(デレク・ルーク)、母親と2人暮しの冷静なクォーターバックのマイク、父親が優勝経験のあるドン、全く笑わないアイヴォリー、といった個性豊かな者が多い。そして、校長より給料が高く、住民からは罵倒され、生徒から信頼されている名コーチをビリー・ボブ・ソーントンが演じている。彼は微妙に変化する心理を見事に演じています。
アメリカ万歳!となりがちな内容ではあるが、閉鎖的な田舎への批判や、勝つことが全てではないというメッセージも伝わってきました。でも、ブッシュの出身地であることは頭から離れませんでしたけどね・・・(別人だと思うけど、エンドクレジットにマイケル・ムーアって出てきてびっくり!)
【2005年5月映画館にて】
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