劇場公開日 2005年4月23日

「これじゃフェリーニになっちゃうよ。」さよなら、さよならハリウッド kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0これじゃフェリーニになっちゃうよ。

2022年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 自虐的パロディは健在だったし、今回は映画界の内幕や製作過程をも楽しめるし、終始クスクスと笑える雰囲気となった。「スピルバーグが見にくるかもしれない」「安息日には来ないよ」などといった映画関係者ネタも多く、映画ファンなら確実に笑えるところでしょう。また、プロデューサーと製作会社、監督・俳優とエージェントなど、思わず膝を叩いてしまうほど納得する場面もありました。劇中劇というか、映画の製作過程を暴露するかのような映画はこれまでもありましたが、監督が失明してしまったらどうなるのか?という、ある意味、実験的な内容でもあったかと思います。これには、ベートーベンも最後には耳が聞こえなかったという屁理屈で対抗するアレンも面白かったです。

 ハリウッド映画くらい目が見えなくても平気だ!というくらい、ニューヨーカーの監督は誇りが高い(これも自虐的か?)。元妻エリー(ティア・レオーニ)とは不倫の末逃げられたという過去のため、ビジネスとケンカが交互に飛び出す会話。しかし、徐々にエリーへの思いが甦ってくる監督ヴァル。息子との確執や元妻への愛といった、愛をテーマにしたものかと思っていたら、ラストの落ちで大爆笑に誘われてしまうのです。しかし、この映画をカンヌ映画祭のオープニング作品にするんだから、ウディ・アレンの度胸もたいしたものです。フランス人の反応を知りたいところだ・・・

【2005年7月映画館にて】

kossy