劇場公開日 2005年2月26日

「緊張感が持続する90分」セルラー ひらつかさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0緊張感が持続する90分

2008年1月4日

興奮

余計な人物描写や演出がなく、ストーリーの本筋の部分のみがテンポよく繋がっていく。始まりから終わりまで緊張感が持続する90分。壊れた有線電話の配線を無作為に接触させることで発信信号作り出し、たまたまかかった携帯電話の相手。かけた側の女は相手の番号がわからないために、二度と同じ番号にかけることはできない。受けた男も着信番号がわからないため、二度とかけ直すことができない。「強盗に捕まっている」と電話越しに会ったこともない女が叫ぶことを信用できるか。会ったこともない男に、女は自分の置かれている状況を信用させることができるか。強盗は、閉じ込めている女の部屋を時折覗きにくる。その目を盗んで会話を続けることができるか。男の乗った車がトンネルに差し掛かれば電波が切れてしまう。話し続ければ電池がなくなる。不安定な状況下で回線がつながっているために、全くの第三者の携帯電話と混線してしまう。2人を繋ぐのは携帯電話だけ、という状況に対し次々と訪れるアクシデント。派手さはないものの、最後まで全く気の抜けない展開で、かなりの良作。エンディングのクレジットも気が利いている。

この手法、とある別の映画と似てるなと思ったら、「フォンブース」と同じ脚本家のラリー・コーエンだった。お金をかけずにプロットだけでちゃんと引っ張っていける手腕はお見事。

ひらつか