タッチ・オブ・スパイス

劇場公開日:

解説

2004年のアテネと1950年代の古都コンスタンチノーブルを舞台に、ひとりの少年の成長とトルコギリシャの現代史を絡めて描くノスタルジックで心温まる人間ドラマ。あらゆるシーンで登場するギリシャ料理の数々が大きな見どころで、色々な種類のスパイスの調理法が登場する。本国ギリシャでは、観客動員数の記録を塗り替えて国民的映画となった。

2003年製作/107分/ギリシャ
原題または英題:A Touch of Spice
配給:ギャガ
劇場公開日:2005年2月5日

ストーリー

1960年代、トルコのイスタンブール。スパイス店を営むおじいさんの家で、暖かい家族、大好きな友達に囲まれ育った少年ファニスは、屋根裏部屋でおじいさんからスパイスの効用、天文学の話を聞いて育つ。そんなある日、戦争の煽りでギリシャ人強制退去の命を受け、「後で追いかける」と言うおじいさんを残して、一家はアテネへ移住。しかしおじいさんとは会えないまま時は過ぎ、ファニスは料理の上手な子供から青年へ、そして天文学者へと成長する。やがて、いよいよおじいさんから移住の連絡が入る。しかし歓迎の料理を作り、家族皆でおじいちゃんの到着を待つ席で電話のベルが鳴る。おじいちゃんが重い病で倒れてしまったのだ。2003年。自らイスタンブールを訪ねたファニスは、昏睡状態のおじいちゃんと再会し、その最期を看取る。葬儀で幼なじみのサイメに再会したファニスは、彼女がやはり幼なじみのムスタファと結婚したこと、幼い娘がいること、結婚は破綻しかけていることを知る。そしてファニスは、一番大切な「人生のスパイス」を手に入れようと心に決めるのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0国の諍いに翻弄された人の郷愁

2013年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 70

 最初は主人公の料理と祖父の話が中心になっていくのか、普通の話かなと思いきや、それらの話はほんの一部に止まりそれだけではないことがわかった。トルコとギリシャ間の複雑な政治情勢を踏まえて、それに翻弄された男の郷愁の想いを伝えてくる。振り返らない女と、満面な笑顔で振り返る少女。前半の移民としてちょっと苦労した少年時代を前振りにして、後半になってからトルコへ残されていた複雑な想いとどうにもならなかった寂しさが残る映画だった。
 シネマオンラインによると、映画史上第2位の興行収入となるなど、本国ギリシャでは非常に人気が出た作品らしい。現実に似たような話を身近にしていれば、この作品に特別な感情と共感を抱くことは当然。外国には日本以上に民族の辛い歴史が人々の生活に影響していることがわかる。

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Cape God

4.0スパイス香るおいしい映画

2009年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

映し出される数々の美味しそうな料理と
イスタンブールの古い歴史あるオリエンタルな街並み

全編に渡りスパイシーに香り立つ空気の中で
じっくりと描かれる人間ドラマ。良い作品でした。

冒頭部分ではイマイチ乗り切れなかったこの作品。

主人公のトルコでの子供時代
画面から香り立つほどのスパイスで埋め尽くされた
屋根裏の薄暗い空間で繰り広げられるおじいちゃんとの交流。

この辺りから徐々に物語に引き込まれていきます。

勉強も人生哲学もスパイスを使って分かりやすく教えてくれるおじいちゃん。
天文から政治情勢に至るまで広く博識で
決して説教臭くない物腰の柔らかい語り口には
街の人々からも一目置かれる存在。

お店に出入りする様々な人間模様の中には
微笑ましい初恋の少女との淡い思い出も。
彩りを添えるのはダンスと赤い傘。そしてスパイス香る絵葉書…。

そんなあったかい雰囲気も中盤からは一転
舞台となるトルコvsギリシャの政治情勢の変化に翻弄される主人公一家。
様々な複線が哀愁漂う終盤へとつながっていきます。

時折差し込まれるコミカルなシーンや
格言めいた人生哲学の言葉の数々にニヤリとさせられつつ
シリアスな時代背景と内面に迫る人間模様を丁寧に描く良作。

ギリシャ版の「ニューシネマパラダイス」とはよく言ったもので
作品テイストや人物設定にはよく似た部分があり
その名に恥じない良い作品になっていました。

まだまだ知名度こそ低いものの
もっともっと評価されていい作品だと思います。

おすすめ作品です。

※他サイトより転載(投稿日:2008/10/23)

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