ブエノスアイレスの夜のレビュー・感想・評価
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チリとアルゼンチンが隣国ですが、70年代に左翼のアジェンデ内閣が誕...
チリとアルゼンチンが隣国ですが、70年代に左翼のアジェンデ内閣が誕生したが、右翼のピノチェトの軍事クーデターがあり、そのアジェンデ内閣が倒されたが、左翼政府の誕生が国民生活を公平平等にですが、上流階級が中流階級の生活に落ちて下層階級が中流階級の生活に上がりと思いますが、ピノチェトの軍事クーデターの際にレイプがあり、カトリックが中絶や墮胎が殺人罪ですが、年輩の独り身の女性が男女の抱き合う逢瀬を壁越しに聴き、ひとりマスターベーションするのが趣味だが、気になった男子がおり、その若い男子と抱き合ってその年輩の独り身の女性がその後に自殺ですが、その若い男子がそのピノチェトの軍事クーデターの際に自分が軍人にレイプされた際にできた、養子に出した子だったが、当映画のストーリーでした。
声と身体、求めるものが違う二人。例え悲劇だとしてもカルメンが羨ましい。
カルメン(セリシア・ロス)は心の傷を抱え、孤独に生活しています。
1979年アルゼンチンで起こったクーデターの時に、カルメンは夫を殺され、彼女は政治犯として1年近く投獄。激しい拷問を受けたのです。
女性には耐えがたいその拷問で、カルメンは異性を愛することも、触れ合うこともできなくなってしまいました。
また拷問の恐怖が、カルメンの聴覚を異常に鋭くさせてしまいます。
カルメンの父親が危篤との知らせが入り、二十数年振りに故郷ブエノスアイレスに帰って来る。そして家族に内緒で、アパートを借ります。
それはカルメンが、快楽を得る唯一の方法の為です。
雇った男女が行う行為を壁越しに聞き、カルメンは自らを慰めることでしか快楽を得ることができません。
ある日、斡旋業者に電話すると、若い男の美しい声が、カルメンの耳を、心を、刺激します。それがグスタボ(ガエル・ガルシア・ベルナル)でした。
カルメンは、グスタボに伝えます。
「一人で来て」
そして壁越しの、二人の関係が始まるのです。
壁を挟んで背中合わせて座り、グスタボが詩を朗読する。グスタボの声が彼女の柔らかい部分に触れ、そしてその声に惹かれます。グスタボもまた、壁の向こうのカルメンに恋します。声ではなく、彼女自身に。
声と身体。
求める物が違う二人。
年の差が二十もある中年の女と若い男の二人ですが、いつしか壁は消え去る。
カルメンが言います。
「こんな気持ちは初めて。もう一人じゃない。貴方は私の全てを知っている。愛する喜びを取り戻した」
しかしそんな二人を、残酷な過去が捕まえに来る。
実はこれ以上は言いたくありません。
ネタバレしたくないのではなく、単純に言いたくないのです。女友達から秘密を打ち明けらたような気持ちなんです。だから、ちょっと言いたくない(笑)
自分を理解してくれた、たった一人の男性。愛した人は、幻想だったのか。もしかしたら、幻想の方が良かったのかも知れないし。どうだろう?
真実を知った後に、起こった悲劇。
全てが終わった後に、カルメンがグスタボに言います。
「悲しまないで。そんなに悪い結末ではないでしょう?」
カルメンにとって最悪なのは、また一人に戻ることなのかも知れない。
本作は、ガエル・ガルシア・ベルナルの魅力で保っているようなものです。オニキスみたいな瞳を濡らして泣くグスタボは、ガエル以外考えられません。
また、他人との境界線を感じつつ生きる私にとって、壁越しの声に欲情するカルメンに激しく共感しました。私が欲情するのは声ではなく、"文字"だけど。
例えあんな結果が待っていたとしても、凄く苦しんだとしても、壁を取り去った人に出会えたカルメンが羨ましい。
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