劇場公開日 2004年10月9日

「友情と思いやり」ピエロの赤い鼻 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0友情と思いやり

2023年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何となく既視感があったのは、同じジャン・ベッケル監督作「クリクリのいた夏」(99)に出演していたジャック・ヴィルレとアンドレ・デュソリレが主役で、しかもキャラクターや関係性も似ていたからかと思います。私も何となくピエロというのが苦手で、まして自分の父親がピエロである息子リュシアン(ダミアン・ジュイユロ)が素直に笑えない気持ちがわかるような気がしました。それを察した父ジャック(ジャック・ヴィルレ)の古くからの親友アンドレ(アンドレ・デュソリレ)が「なぜ、父さんがピエロを演じるのか」を伝えるという構図がいいですね。印象的なのは、穴の上でピエロになったドイツ兵。戦時中の悲劇を描きながら、人間の喜劇的な面も同時に描くというのが今作の最大の魅力のように感じました。メイキングを観るとより一層、今作への愛着を感じましたが、ベッケル監督が述べていた「大事にしていることは、友情と思いやり」というのを聞いて、じーんとしました。まさにそれを詰め込んだ作品だったと思います。

赤ヒゲ