歌え!ジャニス・ジョプリンのように
劇場公開日:2004年8月7日
解説
夫の失態で大金を調達するハメになったごく平凡な主婦が、金策のためジャニス・ジョプリンの扮装をしたことから新たな自分に目覚めていくコメディ・ドラマ。本作のフランス公開直前に、恋人に殴打され衝撃的な死を迎えたマリー・トラティニャンの遺作となった。監督はマリーの元夫サミュエル・ベンシェトリ。劇中マリーが熱唱する『コズミック・ブルース』や、シナリオを気に入ったヨーコ・オノが特別に使用を許可したジョン・レノンの『Isolation(孤独)』、そしてザ・フー、T・レックスといった全編に流れるロック黄金期のサウンドも魅力。
2003年製作/104分/フランス・スペイン合作
原題または英題:Janis et John
配給:ギャガ=東京テアトル
劇場公開日:2004年8月7日
ストーリー
保険会社に勤めるパブロ・ステルニ(セルジ・ロペス)は、妻ブリジット(マリー・トランティニャン)と結婚して14年。8歳になる息子ジェレミーと郊外の街で平凡に暮らしていた。「日々がただ過ぎ、朝が来るのを待つだけ」というパブロだったが、ふと魔がさして保険金詐欺を働く。顧客のキャノン氏(ジャン=ルイ・トランティニャン)のコレクションしている高級車が道路を走行していないのをいいことに、車の保険金をかけたと偽って掛け金をくすねていたのだ。そこへ最悪のニュースが飛び込んでくる。キャノン氏の車が盗まれて衝突事故を起こし、損害賠償金が50万フランを超えるというのだ。埋め合わせの金など持っていないパブロは、どこかでその金を調達するかムショ行きという、二つにひとつしか道はない。そんなとき、向いに住んでいるパブロの母親(アンバロ・ソレル・レアル)から、パブロが子供の頃に会っただけのいとこレオン(クリストフ・ランベル)が100万フランの遺産を相続したという話を耳にする。レオンはヒッピーコミューンに入っていた30年前からLSD漬けで、崇拝するジャニス・ジョプリンとジョン・レノンがいつか自分のところに戻ってくるという妄想の世界に生きていた。パブロはレオンのレコードショップ“ストロベリー”を訪ねてみるが、その店はジャニスとジョンのレコードとコレクションしか置いていない二人のための殿堂。金を無心するつもりだったパブロは、レオンから遺産はコレクションを買い増やすために使うと聞いてあきらめかける。ところが彼からもらったジャニスとジョンの写真を見ているうちに、名案を思いついた。妻ブリジットをジャニスに扮装させ、顧客リストから選んだ俳優ワルテル・キングケイト(フランソワ・クリュゼ)をジョン役に仕立てて、レオンから金を巻き上げるという作戦だった。「ジャニスって誰?」というくらいで、はじめはしり込みしていたブリジットだったが、「世界を救うため、平和の歌を歌うためにこの世界に戻ってきたのよ」というジャニスのメッセージさえ考え出し、すっかり乗り気になってきた。ファッションからヘアスタイルまで昔のままの姿で現れたロックスターたちに、もちろんレオンは感激。一方、レオンを信じ込ませた二人の“役者”は興奮気味で親しげな様子。パブロにはそれがおもしろくない。レストランで大げんかした挙げ句、ジョンはあっさり役を降りてしまう。残ったブリジット=ジャニスのために、レオンはレコーディング用のバンドを招集していた。ブリジットは長時間セッションを繰り返し、マリファナを回し喫み、家に帰ってくるのは真夜中という毎日が続く。彼女は次第に、敬遠していたパブロの母親をはじめとして誰にでも開放的になっていき、おまけに街中のどこにいってもド派手なファッションのジャニスそっくりさんがあふれるようになった! パブロの目論みは大きく外れ、もうどうにもとまらない。金の話はいつまでたっても進まないし、家事をしなくなったブリジットは、「ジャニスは私の一部なの。今はまるで翼が生えているみたい」と打ち明ける。思い余ったパブロは、黒幕の自分が登場してこの芝居の巻く引きをすることにしたが……。
スタッフ・キャスト
- 監督
- サミュエル・ベンシェトリ
- 脚本
- サミュエル・ベンシェトリ
- ガボール・ラッソブ
- 台詞
- ガボール・ラッソブ
- 製作
- オリビエ・デルボス
- マルク・ミソニエ
- 撮影
- ピエール・エイム
- 美術
- ヤン・アルロー
- 編集
- ジュリエット・ウェルフラン
- 衣装デザイン
- ヴァレリー・ポッゾ・ディ・ボルゴ
- その他
- ジャン=フランソワ・ロック