「すれ違いムービー」ホワイト・バレンタイン kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
すれ違いムービー
『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンのデビュー作です。文通をテーマにした内容で、内気な絵の好きな女子大生の役はファン必見でしょう。金沢コミュニティ映画祭にて。
『ユー・ガット・メール』に代表される“すれ違いムービー”の印象があった。本屋(これも似てる)を営む祖父と二人で暮らすジョンミン。この本屋が昭和初期の日本の雰囲気もあり、ノスタルジックにさえ感じられる。ロケ地である韓国全州は百済文化の息吹と芸術の魂が行き続けている都市で、伝統的家屋とモダンな建物が共存する町。その町の中で、カメラワークは人物のアップを避け、アングルは小津映画にも影響受けているかのような人間描写であり、ほんわかと温かみを感じさせてくれるのです。
ストーリーはかなり予想のつく展開。しかし、小鳥屋(?)を営む元為替トレイダーの男が伝書鳩を飼っていることがわかりそうなのにわからない設定といい、ジョンミンの両親とは死別していたことが後半になってからわかる設定といい、稚拙な面が出てしまっている脚本。祖父と祖父の初恋の相手とのロマンスも描写不足。終盤も旅をするシーンと何年経ったのかわからない省略は盛り上がりに欠けてしまった。
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