非情の標的のレビュー・感想・評価
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ギリギリの選択肢
話が飲み込み辛くて回りクドく感じてしまう展開に衝撃的な方向性がありながらも釈然としない全体像、奇妙な関係性からのバディ物として薄情にも当然ながらの選択、物語の伏線回収が成されながらも頭が混乱してしまう序盤、中盤、終盤と徐々に理解は出来ながらもやはり全体的な物語構成がクドい、飽きる訳ではないけれど観ていながらダルく感じてしまう。
ラストは救いようがなくてバッドエンドながらの潔さ、正義を捨ててまで取った全ての行動に奥さんの驚愕的な表情から何かが崩壊してしまう予感、抗えない巨大な組織と暴けない社会の闇、マカロニ・ウェスタンの監督が70年代特有のアメリカン・ニューシネマや日本のATGみたいにイタリア映画としてシビアでサスペンスな物語を重厚に仕上げたような。
かくて熱血中年刑事は権力に屈し、最愛の人のために正義を捨てて口を噤む...
『復讐のガンマン』や『狼の挽歌』といった硬派なアクションで知られるセルジオ=ソリーマ監督によるダーティーな犯罪アクション作品です。
若い頃は殺人課の刑事として活躍しながらも紆余曲折有って刑務所看守に身を窶している中年刑事が、誘拐された若い妻を救い出すために犯人グループと闘うも、余りの敵の巨大さと自分の属する警察組織の腐敗も目の当たりにして静かに体制に迎合していく姿を乾いたタッチで描いています
囚人とぶつかり合いながら親交を深めていく様はこの上なく暑苦しくもどこかホモセクシュアルな漂いも有り、主演のオリヴァー=リードがずんぐりむっくりな体型に口ひげの勝新さんスタイルなことも相俟ってどことなく『兵隊やくざ』シリーズっぽさも感じさせる面も有ります。
本来ならば脇役に回されるような"権力に屈した男"を主人公に持ってきているのが驚愕というか、冷徹なイタリア映画!というところ。
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