「伝統と男子偏重の間で」クジラの島の少女 Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
伝統と男子偏重の間で
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ニュージーランドの海辺の美しく小さい村。族長の家計でマオリの伝統を重んじる祖父コロは息子の元に生まれる男子が予言者になると信じていたが、出産時に母親と双子の男児は死亡、残されたのは女児パイケアだけだった。女子は族長になることは出来ない。族長になる気が亡く海外に旅立った息子に見切りをつけ、コロは村にいる12歳の男子たちの中から跡継ぎを選ぼうとするが、男子と同じように伝統を身につけようとするパイケアに祖父は伝統を汚すな、と辛く当たる。それでも祖父を慕うパイケアが痛ましい。
日本でもいまだに女系天皇を認めない、女性の首相を輩出していない、男女の賃金格差が大きいなと男尊女卑の激しい国だ。ニュージーランドは世界で最初に女性選挙権を認め、女性首相を3人輩出するなどかなり男女平等が進んではいるが、それでもこういった伝統の中にある男子偏重に縛られていることがわかる。それでも族長の血筋が自分で途絶えてしまったのは誰のせいでもないと学芸会で涙を流しながらもスピーチする主人公パイケアが優しく美しい。リーダーの器とはこういう物なのだ。
伝統とはそもそも何のために守るべきなのか、自分を慕う優しい孫を傷つけてまで固持すべき習慣や慣習はあるのか。
未だに女系天皇も夫婦別も認めない日本こそこれを見るべきだ。
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