えびボクサーのレビュー・感想・評価
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えび(シャコ)のパンチはすごいんです
人生に迷ってるボクシングのトレーナーが、ゆきずりの超巨大シャコのパンチに惚れて、それを見せものにショーをしようと画策。
思い通りに働かないえびボクサー(シャコ)を売り込みにかけ、ついに念願のテレビに出るとシャコ大暴れで関係者全員えらい目に遭いますが、最後はなぜかえびボクサー(シャコ)をカリブの海に帰して観光ビーチで働くという、イギリス人の叡智を集めた映画ですウソですごめんなさい。
でも説明したストーリーはだいたい本当です。
監督のマーク・ロックが「シャコがボクシングをするんだ!こいつは最高のアイデアだぜ!」と勢い込んで撮ったにも関わらず、コンペにかけてもどこの配給会社からも買い取ってもらえなかったとインタビューで語ってます。
そらまあアナタ、ねえ。
でもそれをなぜか日本の、あのアルバトロスフィルムがお金を出して配給しました。
アルバトロス・フィルムといえば会社員10人足らずの、B級ばかり扱う、当たったのは『アメリ』ぐらいのあの会社です。
デビッド・ベッカムが出てると思って中身も見ずに『ベッカムに恋して』の配給をした、あのアルバトロスです。
適当にレンタル屋から一本借りてきて、あのアルバトロスのロゴがムワーって光った時の気持ち、知ってる人も多いはず。
あーもうこれは低予算ですわシャーク映画気分で見なきゃダメなやつですわモードに入っちゃう、あのアルバトロス配給作品です。
みんなはもう、わかるよな(声:体は子供探偵)。
この作品を配給後、なにを血迷ったか身の程わきまえぬアルバトロスが『いかレスラー』とか『コアラ課長』とか作ったのは、マイナー変態映画好きの記憶に新しいところ。
自分、ビデオで見たにも関わらず、血迷ってDVD買いました。
映像特典のこの映画およびMr.C(えびボクサー)誕生秘話がアホアホでいい味出してます。
ボブ・キーン(映画監督)
「私はこの生物の残忍性(略)に夢中になったよ」
「まさに夢が叶ったみたいだ」
まって監督、どこからつっこめばいいの?
マーク監督に一杯おごりながら、製作の動機と撮影の話を聞きたくなる、それがこのえびボクサー。
☆☆☆と割といい点数付けてますが、絶対の絶対に、すんなりと受け入れられる作品じゃないから、なるべくお金出さずに見てください。
絶対に、ですよ。
本当にもう、約束ですよ。
買ってまず家族に見せて、全員から「なにこれ、学生さんの卒業制作?一体いつ面白くなるの?」と言われましたから。
家族よ、すまぬ。
思い出すなあ、一人で岡山に行った時に食べたシャコ。
食べづらかったけど、カラ剥いて、三杯酢で酸っぱくなった指ごとムシャッといくの、楽しかった。
なんていうか、この映画もそんな感じの、珍品です。
シャコ・セラピー?
タイトルを真に受けえびかとおもったら「シャコ」だった、映画の中でもマンティスシュリンプ(シャコ)と言っている。7フィートもある大シャコが見つかったのならそれだけでもビッグニュースなのに何故か世間やTV局が冷ややかなのは解せない。自己中で愛とは無縁、女性蔑視の権化のような残念な中年親父がシャコの保湿クリームにえら掃除と世話をするうちに情が芽生えると言うテーマだったとはまんまと騙された、アニマル・セラピーならぬシャコ・セラピー?
それより驚いたのはマンティスシュリンプでググったら本物のシャコとタコの闘いがYouTubeにアップされていた、さしもの音速パンチも軟体のタコには効かない様子、めんどくさい奴と思ったのかタコの方から去って行ったのには笑った。事実の方がフィクションより面白いのだから張りぼてのシャコでは余りにも安っぽすぎて太刀打ちできない。下ネタトークばかりでは子供にも勧められないし誰がターゲットなのだろう。アルバトロス配給とくればB級映画の代名詞、B級ならではの開き直った馬鹿バカしさが肝でしょう、間違っても感動作など追ってはいけませんね、そんなもの誰も期待していないでしょう。車で飼っていたがガレージだったら受けた?退屈なので余計なことを考えていたら、お馬鹿映画の巨匠河崎実監督が本作にインスパイアされて「いかレスラー」なる珍獣タイトルマッチ映画を作っていたとのこと、どう料理したのかそっちの方が気になりました、御免なさい。
結局ボクシングをしないエビ
巨大エビにボクシングをさせる。
着想は良いので、正しくやれば名作B級映画になるだけの要素は充分にあったと思うのだけれど。
ただ、正しくやることができなかった。
そもそも、ここまでお膳立てしておきながら、結局エビにボクシングの試合をさせることは一度もなく、しまいには、おっさんの「俺は彼女が欲しい!」という大演説でストーリーを締めくくる始末。
これだけのトンデモ筋立てを用意しておいて、まさか結局はおっさんの人間再生ストーリーだったとは誰が思っただろうか。
ずっと行動を共にしてきたのに、おっさんの人間再生というプロットには全く関与しなかった若手ボクサーとその彼女も「俺たち何だったの!?」状態である。
ああもったいない。
せめてこれが、
「巨大エビが人間相手のボクシングで無双状態の連戦連勝。色めき立ったボクシング界はついに対抗策を打ち出す…!」みたいなストーリーだったらB級痛快映画の金字塔となったのに。
まあ、でもね、えびボクサーなんて邦題を付けた人も悪いんですよ。だって、原題のCRUSTだったら、まだおっさんの人間再生に関わっているもの。えびボクサーなんて言ったら、ボクサーであることを期待しちゃうじゃないの。
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