狂乱のモンテカルロ
解説
エリッヒ・ポマー製作の音楽映画で、フリッツ・レック・マレツェヴェン作の小説をジェネ・ヘルタイが映画向きに書改め、「狂乱のモンテカルロ」の原作者ハンス・ミュラーがフランツ・シュルツと共に脚色に当り、「悲歌」「女王様御命令」と同じくハンス・シュワルツが監督、ギュンター・リッタウが撮影した。音楽は「ガソリン・ボーイ三人組」「女王様御命令」のウェルナー・ハイマンの担当で、撮影には「月世界の女」「予審」のコンスタンチン・チェットが共同している。主役は「嘆きの天使」に出演し現在はドイツ映画界切っての人気俳優と云われるハンス・アルバースが勤め、「カラマゾフの兄弟」「泣き笑ひの人生」のアンナ・ステン、「ガソリン・ボーイ三人組」のハインツ・リューマン、「M」のペーター・ローレ、「雪崩」のラシェル・デヴィリス、「泣き笑ひの人生」のオットー・ヴァルブルグ、クルト・ゲロン、イダ・ヴュスト等が助演している。
1931年製作/110分/ドイツ
原題または英題:Bomben auf Monte-Carlo
ストーリー
前身を洗えば、カウボーイ、曲芸師、捕鯨船の船長というのが、ポンテネロ王国の巡洋艦「パージモン」の艦長クラドックだった。本国はお多聞に洩れず極度の財政難、艦員の給料や石炭代にも事を欠いて、退屈な船体を、地中海の沖合に、「パージモン」は浮べている際だったから、そうでなくても、気の短いクラドック艦長は、いらいらしていたのである。其処へ持って来て一通の電報だ。「パージモン号は女王ヨーラ姫の、地中海見物の御案内をなす可し」--給料も払わないくせに、女王さまのお守りなんか阿呆らしいと彼は思ったが、退屈凌ぎにはモンテカルロは好適と考え直してクラドックは女王様お出迎えに向う。ルーレットの都、女の町のモンテカルロで、クラドックは一きわ目立つ美しい乙女を見出した。女に参ったことの無い彼であったが、此の女にだけは首ったけになったらしい。連れ立って宝石店に立寄ると女は十三万フランの首飾りを取りあげる。クラドックの懐中には十万フランの金があるがそれは財務官から受取ったばかりの乗組員の給料と石炭代だ。だがクラドックは女に負け目を見せない男だ。首飾を買ってやると手許に一万フラン残った。それを持ってカジノに飛込むとルーレットの回転と共に十万フランとなった。もう一度と女に勧められて十万フランを賭けると皆取られて無一文となった。切端つまったクラドックは地金を現し、明朝までにパージモン号に十万フランを持参せねばカジノを砲撃すると言渡して立去る。夜明け方パージモンはモンテカルロの街に砲口を向けて空砲を一発。それが実弾と代ればモンテカルロは狂乱の街だ。だが此の乱暴者の艦長は、彼の恋人の命令で捕縛される。彼の恋人こそは女王ヨーラ姫だったのだ。若い女王も乱暴な艦長に惚れ込んで了ったのである。しかし想いを寄せた愛人が女王だと知ると、クラドックは権勢に屈するのが嫌になり、忽ち身を躍らして艦から海中に跳込んだ。そしてクラドックはハワイ行の漁船に泳ぎついて乗船したのである。この神をも人をも恐れざるクラドックの振舞いに、驚き呆れたヨーラ女王は益々クラドックに対する思慕の情が昂まるのを感じた。女王様の命令一下、パージモン号はクラドックを乗せて行く漁船の跡を追って、白浪を蹴立って驀進したのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ハンス・シュワルツ
- 脚本
- ジェネ・ヘルタイ
- 脚色
- ハンス・ミューラー
- フランツ・シュルツ
- 原作
- フリッツ・レック・マレツェヴェン
- 製作
- エリッヒ・ポマー
- 撮影
- ギュンター・リター
- コンスタンチン・チェット
- 美術
- エリッヒ・ケッテルフート
- 音楽
- ウェルナー・R・ハイマン
- 助監督
- パウル・マーチン