フットライト・パレード

解説

「四十二番街」と同じくロイド・ベーコンが監督にあたったレヴュー映画で、「地獄の市長」「駄々っ子キャグニー」のジェームズ・キャグニーが「ゴールド・ディガース」に共演したジョーン・ブロンデル、ルーヒー・キーラー、ディック・パウエル、ガイ・キッビーと共に主演するもの。「四十二番街」「ゴールド・ディガース」の脚色者ジェームズ・シーモンがマヌエル・セフと共同して原作脚色、ダンスも同じくバスビー・バークレイが考案演出にあたり、撮影は「シャーロック・ホームズ(1932)」「地獄のサーカス」のジョージ・バーンズが担当している。助演者はフランク・マクヒュー、ルース・ドネリー、ヒュー・ハーバート、クレア・ドッド、アーサー・ホール、ゴールド・ウェストコット、フィリップ・フェイヴァシャムその他の堂々たる顔ぶれを揃えている。

1933年製作/アメリカ
原題または英題:Footlight Parade

ストーリー

ミュージカル・コメディーの演出家チェスター・ケントはトーキー流行の世となって失職したので、映画館のプロローグを演出することを思い立ち、フレイザーとゴールドという資本主と共同してプロローグ屋を始めた。商売は繁盛したが、ケントの考案はいつも外部にもれた。助手を馘首してもそれは止まず、またケントの収入はフレイザーとゴールドにごまかされて少なかった。彼はナンという秘書を助手に懸命に働いた。ナンは彼を恋していたが、ケントはヴィヴィアンというゴールド・ディガーに惚れて彼女と婚約をした。以前ダンサーだったが成功しないので事務員となっていたビーは、再びダンサーとして舞台に立つこととなり、大学を卒業したスコット・ブレーアという青年と恋仲となった。スコットもいい歌手だったので2人はチームを組むこととなる。ケントは一時に3つのプロローグを考案演出することとなり自ら鑑詰去れて創作中離婚したはずの妻が帰って来た。彼女はレノへ行く代わりに欧州を遊び回っていたので、2万5000ドルくれねばヴィヴィアンのことを訴えると脅迫した。ケントは金は出きないのでやむなくすべてをヴィヴィアンに打ち明けた。ヴィヴィアンはゴールド・ディガーの本性を現して、結婚不履行で訴えると言いだした。ナンは心配して妙案を思い付き、フレイザーとゴールドに、2万5000ドルを出さんとなにもかもしゃべるとブラフを言った。すると彼らはブラフにかかって金を出した。ナンが2万5000ドルをケントに渡すと、ケントは始めて2人に裏切られていたことを知り、2人と絶縁してしまった。がケントはインスピレーションを得て素晴らしいプロローグを案出して、舞台にかけることとなったが、突如2枚目が拘引されてしまった。ケントは代役を演じて大成功を収めた。そして彼は劇場チェーンと有利な契約を結んだ。一方ナンはケントの妻に離婚承諾書と引き換えに2万5000ドルを渡して手を切らせ、ヴィヴィアンは他の男と濡れ場を演じていたので、目撃された以上、結婚不履行でケントを訴える資格は自然消滅してしまったわけである。かくてケントは始めてナンが如何に彼自身に必要な女性であるかを知ったのであった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0幾何学模様のレビューが見事!

2022年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

これぞ映画ならでは…の大人数による見事なレビュー。
特に、水中で大人数が幾何学模様を見せるレビューが素晴らしい!
振付演出は、バスビー・バークレー。
この唯一無二と言える映像美を見るだけでも、本作鑑賞の価値あり。

トーキー映画に押されてサイレント映画が無くなっていく頃、舞台のショーも廉価の映画館に客を取られていく窮地になるが、収益を上げるために多くのレビューを廉価で見せる興業形式に変えようとする男(ジェームズ・キャグニー)が秘書(ジョーン・ブロンデル)と相談しながら客を満足させる世界を作って行くバックステージもの。

前半は舞台レビューを盛り上げる物語の中で、仕事多忙で秘書が自分に恋愛感情を抱いているのも気付かないジェームズ・キャグニーを中心に、それとは別にディック・パウエルと彼女の歌声&恋愛も描かれる。

後半は契約争奪のために、3つの舞台をハシゴしてレビューを見せる物語。この3つの舞台が見事で、(正式なレビュー名は知らないが)「♪ハネムーン・ホテル」・「♪水の妖精」・「♪上海リル」と続く舞台は素晴らしい。特に、2番目の水中での演技は本当にタメ息もの。
ただ、これら3つのレビューを実際の舞台で出来るか?…というと無理だろうが、あくまで映画劇中の場面として楽しめば良いかと…(笑)

なかなか見事なミュージカル&ロマンス映画であった。

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たいちぃ

5.0古典的ミュージカル映画の傑作

2018年6月10日
PCから投稿

1933年の作品でトーキーになって間もないが、技術的な遜色は全くないばかりか、マシンガントークとスクリューボールのとてつもないスピード感でそれでも物語の語りの饒舌さを失わないすごさ。
そしてミュージカルシーン。振付演出はバスビー・バークレーで、バークレー節全開の荒唐無稽っぷり。ジェームズ・ギャグニーかっこよすぎる。
全く関連のない3つのミュージカルが描かれるとんでもない構成と、有無を言わせぬダンスと歌の多幸感。脳天から足の先まで幸せな気持ちでいっぱい。

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ken7arooo