ヴェルクマイスター・ハーモニーのレビュー・感想・評価
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目に焼き付く映画。
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映像が目に焼き付いて印象に残った。丁寧につくられていると思う。観る気がありさえすれば細かい所まで十二分に答えてくれる映画だろうと思った。
長い描写は慣れてきたら面白くなってきた。いやでもよく観察し印象に残る。そして強調するのにはそれなりの意味があると、後で気がついた。
クジラは、ラストではテーマパークの大きな作り物のようにしかみえない。所詮はそんなものだった。
しかし暴動者たちの視点、こちらはなかなかシリアスだ。彼らがみているものは、人間はすぐに枯れて消滅する≪全く無意味な存在≫だということ。彼らはその事実の前に、抵抗できず、うなだれるしかない。そして彼らにとっては全てが無意味となる。
ヤノーシュは心身の逃げ場を失った。逃亡は、形状こそ違うが根本は同じ別のものに阻止された。
叔父の温もりだけが、微かな救いとして残る。ふたりで同じ方向に向かって歩いた、あの長い場面が思い出される。
ストーリーは小説から来ているのだろうけれど、月並みに表現されていたらこんなにインパクトを持てなかった。やはり凄い監督さんなのだろうと思った。
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個人と大衆心理
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素晴らしい作品だ。ワンカットが長尺なタル・ベーラだが、この長さは必然的な長さである。主人公は無垢で美しい魂を持つ心優しい青年。その対極に大衆心理で流され、暴動を起こし破壊し尽くす大人たちが居る。張りぼてのクジラが個人と大衆を翻弄する鍵となる。印象に残るクジラの目は虚空を見詰めつつも、全てを見通しているようでもある。エンディングのワンシーンが一つの世界が終わった後の空虚感を見事に捉えている。全く唯一無二とはこの監督のためにある言葉ではないだろうか?
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