「清々しいほどの凶気」es エス じょんこさんの映画レビュー(感想・評価)
清々しいほどの凶気
一般人被験者を囚人役と看守役に振り分けて生活させる
心理実験のお話。
2週間の拘束で約25万円の報酬という高条件に、
さまざまな男たちが集まる。
ただし、囚人役には人権も自由もない
それが注意事項。
看守役は看守に、
囚人役は囚人に、
みるみる〈なりきり〉、
衝突し、
そして禁止された暴力がはびこり、ついには血が流れる。
***
1日でこんなにも人は変わるのか!
看守役になった男たちの変貌。
囚人を従わせる快感に酔ってる感じ。
囚人役になった男たちの変化。
看守の抑圧に対する反抗と服従。
それぞれのグループの一体感がすごく高まる。
俺たちは看守だ
俺たちは囚人だ、みたいな。
ただ、「役」が与えられただけなのに、
「実験を終えてみんなで報酬をもらおう」と言いつつも、
自分の役を邪魔する奴は許せない。
特に、力を持った看守たちの凶気が目立った。
主人公が囚人役だから尚更。
「お前、臭いぞ」
気にすること言われたら、プッツンきちゃうのって
真面目な人なんだよなぁ!
そして根に持つんだよなぁ!
普段はおとなしいのに、急に切れて暴れて窓割っちゃう奴
中学の時とかよくいたよなー
こんな奴、いたいた!
って登場人物が今まであった人に置き換えられて面白かった。
タレクが音と光を遮断する小さな箱に閉じ込められたところで
きゅぅ~ってなった!
怖い。
武器を向けられたり、縛られたり、おしっこかけられたり…
色々な痛みとか屈辱とか受けてたけど、
これが一番怖いと思った。
ぞくぞく~ってした!
出られない!聞こえない!見えない!
もし誰も出してくれなかったら…
もし火事になったら、とか
もし地震が来たらって想像してきゅぅ~ってなった!
のに!!
箱の中にドライバーあって、箱を壊して脱出してちょっとかぽーんとした。
うーん…
シュタインホフに助けて欲しかったけど…
その後の彼は頼もしかったからいっか!
主人公タレクと恋人ドラのストーリーが合間合間に挟まれたけど、
時系列がわからなくて、最初は???だった。
囚人役になって辱めを受ける今のタレクと
普段のタレクとの対比になっていたのかな?
落差?
タレクに自分を取り戻させるもの?
ドラそんな重要な役するとは~
グリム博士に頑張って欲しかったなぁ~
年齢不詳グリム博士!
将来教授と結婚するの?
まさか研究者も巻き込まれるとはなぁ~
セキュリティ弱!
うーんと、
とりあえず人間はよくも悪くも単純!
死人が出るし、後味よくない映画だけど、
私はそんな人間の凶気が大好きだから、
楽しかった!
むしろ清々しい凶気!
みんなそれぞれ日常でも
自分の「ロール」を演じているのかな?
役がないと生きていけないのかな!