「心理実験から描く恐ろしい人間の本性!」es エス だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)
心理実験から描く恐ろしい人間の本性!
観終わった後にどっしりと重く暗く残る映画でした。単なる実験のはずが、人間はこんなにも役になりきれるものでしょうか?お金欲しさに集められた、全くの素人が“支配”と“服従”に徹し、演技の域を超えてしまった余りにも異常な光景に、観ていて心苦しさを感じました。
決められた6つのルールなのですが、たった2日で、暴動、見せしめ、暴力、体罰へと変貌させることができるルールで、人間の本性を出すには十分でした。バイト1日目の和やかな雰囲気から一転し、バイト6日目の絶望感…。その余りにも正反対状況が、実験の残酷さを物語っています。
もちろん映画だから大げさに描いているところもありますが、現実の実験で起きたことを調べてみると、案外近しい状況まで陥っているみたいです。
現実に起きた体罰
・囚人に向けて消火器を発射し全員を裸に
・暴動を主導した人物への重い仕打ち
・態度の悪い者への体罰(腕立て伏せなど)
・監視カメラから見えないようにしての虐待
・真っ暗な独房を使っての罰
・素手でトイレ掃除や靴磨き
現実の実験で起きてしまった状況ですが、映画で描かれている殺しや研究者の監禁以外は割と忠実に書いているんですよね…。
支配と洗脳というものの怖さが良く分かる映画(実験)ではないでしょうか。人間の闇の欲、そして本能なのかもしれません。万が一、自分が看守の立場になった場合はいったいどんな行動を起こすのだろう…はたして自我を保っていられるのだろうかと、考えさせられることが多い映画でした。
犯罪やいじめなどに通じる人間の恐ろしさを知ることができる怖い映画で、非常に重くるしくなる映画ではありますが、そういう心理状況を見るにはお勧めの映画でもあります。ただし、何度も観る作品ではないことは確実です。