「トラボルタ氏の声に聞き惚れた。」ドメスティック・フィアー とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
トラボルタ氏の声に聞き惚れた。
マッチョなイメージのあるトラボルタ氏。こんなに優しい声で、こんな風に話すんだっけ?
私は、『グリース』と『ヘアスプレー』とこの映画しか存じ上げないけれど、『パルプ・フィクション』という代表作もあり、他の方のレビューを拝見すると悪役期待されていて、何気に芸域広いですね。
前半、心が優しすぎてアルコールにおぼれて離婚されて、でもそれで元妻・子に未練たらたらで反省してっていう、本当に人柄が良すぎて、掴んだ幸せを逃すタイプがにじみ出ていてしんみりしてしまった。
子ども大好きすぎて、子どもの話を全面に信じて…、大人らしく客観的に判断して子どもの話を信じるんじゃなくて、という子煩悩ぶり=バカ親ぶりがかわいかった。
こんな風に自分の話を真剣に聞いてくれる親がいたら。理想ですね。
だのにままならぬ人生。
いつでも両親の離婚で傷つくのは子ども。
その子どものためにと考える離婚・再婚もあるけれど。
親の再婚で、幸せをつかんだ子どももたくさんいるけれど。
継父が”殺人”…。
映画の設定と思いたいけれど、現実だって、虐待死させる親がいるのは事実。まぁ、血のつながった親が虐待するケースも多いから、継父だけの問題ではないけれど…。
再婚相手のこと調べないのか…。
恋は盲目。しかも、無意識・意識的に、子どもを育てるための金づるを手放したくない心情で、あえて都合の悪いことに蓋をしてってよくある話。
ひどいのになると、継父による性的虐待を見なかったことにする母もいるし…。
再婚相手だけの問題だけじゃないけれど、お金はあるけれど養育費払わない無責任男を捕まえる女も多い…。
そんなところに、継父になつかずに、実父を慕う、前思春期の連れ子。
この映画のような継父や実母じゃなくて、子どもの為を思って気遣って動く継父・実母であっても、新しい家族を作り上げるのは難しい。
継父を貶めて、実父をヒーロー化する幻想にはまり込む子も多い。
とはいえ、どんな親であろうと、自分が犠牲になっても大切な人(実母)を守りたい子ども。だから、虐待の発覚は難しい。周りが発見しても、子どもが認めないとか。
そんな、よくあるステップファミリーの心情をもう少し丁寧に描いてくれたなら、話に深みが出たろうに…。
家庭内の問題。
一昔前…昭和・平成…は、ベールに包まれた謎。他人はなかなか踏み込めぬ迷宮。今も?
狼少年は、自分と母を守るために声を上げたが…。
社会的成功者と社会からみなされている者 VS アルコールにおぼれた男と狼少年。
軍配はどちらに?
そして、実父は子どもを、そしてその母(元妻)を守れるのか?
ツッコミどころはたくさんあるけれど、ラストのアクションは結構迫力。
見て損はない。
子が悪いことをしても、親が見たくないことから目をそらして都合の良いことだけを見るのとは違うけれど、
本気で訴えていることに関しては、自分のことをこれだけ信じてくれる、
そんな親がいたらと羨ましくなる映画です。
原題:Domestic Disturbance(家庭内の妨害?)
邦題:ドメスティック・フィアー(家庭内の恐怖?)
久々に、邦題に軍配を上げた。