フォロウィングのレビュー・感想・評価
全87件中、21~40件目を表示
途中まで面白いけど、結末が。。。
空き巣のコッブの哲学めいた私見が面白く、被害者と出くわすようなピンチでさえ、冷静に分析していて、デザートまで食べようとする余裕っぷりにかなり惹かれた。
時系列をバラバラにして謎を作りつつ、主人公を通してコッブのカッコ良さを魅せるような作りだと思った。
かなり面白いけど、ラストに向けてのコッブの仕掛けがちょっと出来すぎていて、いわゆる無理ゲーに思えて冷めてしまった。
ギリギリ可能と思われる一線を超えてしまうと、なんでもありの世界観に思えて熱が冷める。
なんか惜しい映画。デビュー作だから当たり前か。
伝統と革新、創造と破壊
クリストファー・ノーランを父親=イギリス人、母親=アメリカ人双方の気質を兼ね備えた映画監督と評する人が多いと聞くが、本当ににそうなのだろうか。伝統を重んじながら進取の気象に富む気質は、英国人の国民性そのものだからだ。そうでなければ、ビートルズにプログレッシブ・ロック、パンクがイギリスで生まれることはなかったと思うのである。
本長篇デビュー作にそのイギリス人特有の個性をあてはめてみようとするならば、モノクロ&スタンダード→伝統、時系列のいりくり→革新ということになるのだろう。とある別の映画で、ためしにタランティーノの『パルプフィクション』を時系列のどおりに並べ変えてみたら面白くもなんともなかった、という話を聞いたことがある。本作においてその時系列シャッフルが無ければ、おそらく自称作家である貧乏男の“狂気”が観客にうまく伝わってこなかっただろう。
最新作『オッペンハイマー』の中でノーランは、革新的な技術=原爆が目の前にあった時、それを使わずにはいられなくなる科学者の本能を描き出した。それは、自らに課した掟を破って同作品に初めてCGを使ってしまった“言い訳”のようにも思えるのだ。元来新しいものには目のないノーランが、頑なに守り続けてきた伝統を自ら破ってしまったからである。
一見すると、コッブなる人物に殺人窃盗の罪をなすりつけられた男の悲劇のように思える本作。しかし、ノーランにしては珍しくストーリー・ロジックが所々で破綻している、突っ込み処が散見されるのである。まるで、(部屋に飾られたモンローのブロマイドや『罪と罰』の“老婆殺し”から思いついた)売れない作家が書いた三文小説のように...警察が云うように、はなっからコッブは主人公の頭の中にしか存在しない“想像上の人物”だったのではないだろうか。
貧乏に耐えきれず、他人の跡をつけ回しては留守中空巣に入り盗みを繰り返していた男が、小説風にでっち上げた架空の人物、それがコッブだったのではないだろうか。つまり、時系列を破壊した物語の構成そのものがミスリードになっているのだ。そう考えると、映画ラストのオチを含めすべての辻褄があってくるノーランらしい、非常に緻密なシナリオといえるのかもしれない。伝統と革新、創造と破壊。2つに引き裂かれたアイデンティティを感じとるべき映画監督なのかもしれませんね。
時間軸があちゃこちゃになる。
仕掛けまくり
高密度な映画
時間使いの達人
クリストファーノーランの長編デビュー作面白いとの評判なのでサービスデーを利用して見た。クリストファー・ノーランは時間使いの達人だなと思いました。
結論から言うと面白かったです。
話は時系列的に並べられてない、時間が行ったり来たり、途中から何でこの人の容姿は変わったの?ここの部屋ってと…どうなってるのと思いながら見ていて、後最後にそれが明かされる。
上映前、劇場のホールで流されてた予告の最後に「騙されるな」のコピーを見てたのですが、想定外の内容に私は、騙されました。
また、音の使い方もいつも楽しまされます。観客をイラつかせるような音の使い方にオッペンハイマーの足音に通じるのではないかと考えました。
この作品の頃にはきっとメメントはもとより、インセプション、TENETなの構想も既に持っていたのかなと考えてしまいます。
ところで、クリストファーノーランは、ジャックニコルソンが好きなんでしょうか、主人公の部屋に、叩き割ったドアの隙間から覗く写真や主人公?の部屋に貼られたバットマンのマーク(ジョーカーは、ジャックニコルソン)個人的には気になりました。この映画の制作時、まさか自分がバットマンを撮るとは思ってなかったのではないでしょうか。
そして、次回作はスパイ・スリラー風SFドラマとのこと、もう期待大でしょう。
今から楽しみです。
ノーラン監督作品をより探求する手がかりとして観るもよし、これを導入部にするもよし、な一作
モノクロームでざらざらした映像に時代を感じますが、よくよく考えれば1998年公開作なので、カラーでの撮影が当たり前の状況のはず。「フィルムノワール的作品なんだから、フィルムもモノクロームでしょ」というノーラン監督のこだわりが主な理由、らしいんだけど、フィルム代を少しでも節約しようとした可能性も。というのも、ノーラン監督は本作を、のちのち重厚で大規模作品を手掛けるようになる経歴からは想像もつかないほどの低予算、少人数スタッフで作り上げたためです。
時間軸を操作することで次々と現れる謎、意表を突く結末など、ノーラン作品の特徴ともいうべき要素は、すで長編初監督作でもある本作にも随所に見出すことができるんだけど、彼の才気煥発ぶりを実感する一方で、なんとなく制限のかかった予算でどれだけ面白い映画を作り出すか、という試行錯誤の結果編み出した技であるかのようにも感じたり。
さすがに本作の後継が続々登場したことを知っている観客の視点では、本作の仕掛けに全くの真新しさを見出すことは困難ですが、しかし多くの観客の意表を突くことは間違いなく、「このトリックは100%見破れない」という惹句も誇張ではありませんでした。
本作以来久しぶりにモノクロームフィルムでの撮影も取り入れたという(しかもそのために特注のフィルムまで開発した!)、『オッペンハイマー』と劇場で見比べてみる、という体験ができるのも、今現在ならでは。
上映時間は約70分と以降の作品と比較して非常に短く、しかも話は濃密かつ面白いので、本作をノーラン作品の導入部として観ることもおすすめ。
また記念上映ということでパンフレットの気合も素晴らしく、10ページにも及ぶノーラン監督インタビューは圧巻です。必読!
ノーラン監督作コンプリート
ノーラン初長編
70分でもノーランらしさが凝縮されていた
バットマンへの壮大な伏線…!
散りばめたパズルを一つ一つ拾い上げ、パチリ、パチリとはめていくような感覚。
モノクロの画面が情報を伝えすぎないからか、よりストーリーに入り込める気がする。
日常生活で時たま出会う理解し難い出来事って、その時はその違和感すら魅力に感じてしまうし、なんなら生活の中に紛れ込み、ナチュラルに寄り添ってくる。そんなモノを形にするとコッブになるんだろうな。
そしてまたコッブは、次のターゲットを目指して生活の中に溶け込んでいくのだ。
荒削りながらもメメントやTENETの始まりがここかと思うと、感慨深いものがある。
TENETか理解できなかった方は、まずはクリストファー・ノーランの理解のために、この作品からスタートすると良いと思う。
最初に見た時は気が付かなかったけど、今見るとアパートメントのドアに貼ってあったバットマンのエンブレム、ここにその種を蒔いていたんだなと、ニヤリとしてしまった。
ノーランやばいな
まぁ出来過ぎな脚本で無理はあるけど…
ルールは破りたくなる
クリストファー・ノーランの映画が1週間で2回も、しかも映画館で見れるだなんてめちゃくちゃ贅沢。昔からぐちゃぐちゃ時系列が好きだったんだね。これが「インセプション」だとか「テネット」だとかSF超大作に変貌していくと思うとなんだか考え深い。長尺のイメージが強いノーラン映画だけど、短い時間でも才能を十分に発揮。期待していたラストじゃなかったから評価は抑えめにしたけど、これが処女作だなんてエグすぎる。演出、構成共に完璧。他のどの監督よりも映画見た!と強く思える、圧倒的な満足感があるんだよね〜。
〈そう簡単に人は変われない〉〈ストーカー、ダメ、絶対!〉的な映画だからまぁこれでも全然良いんだけど、個人的にはもっと主人公を面白く描いて欲しかったかな〜と。でも、70分でここまで展開させるのは至難の業。気楽に見ていたら最後の伏線回収にうわ!って言っちゃう系の映画。低予算だから他作品に比べると地味ではあるけど、やっぱりノーランはノーランだった。クリストファー・ノーランの頭、一日体験したい。
軽快に駆け抜ける70分がもたらす余韻
全87件中、21~40件目を表示