劇場公開日 2001年10月20日

「麻薬捜査官の裏事情に新米警官ジェイクがどう対応していくか?」トレーニング デイ 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5麻薬捜査官の裏事情に新米警官ジェイクがどう対応していくか?

2021年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 アロンゾが「麻薬捜査官が麻薬ができないと疑われる要素になる」というようなことを言った事については、たしかにその通りだろうな、と、裏社会を取り締まる側の事情なんて知らないながらも、大阪のマル暴刑事のニュース映像を思い出しながら考えていた。敵に勝つにはまず敵を知らなければならないと。という感じに、映画の冒頭ではクールで裏社会に染まりながらも麻薬と戦っていくダークヒーロー的なベテラン刑事なんだなとアロンゾを見ながら映画を見ていった。
 アロンゾの言葉で他に印象に残るのは、「問題は何が事実かではなく、何を証明できるか。」と言うような言葉も、使われた背景を度外視すれば、納得が行く。
 以上、アロンゾの言葉で印象に残った二つの言葉(というよりもニュアンスを書き出しただけだが)であるが、私がこの映画で一挙手一投足を注目していたのはアロンゾだった。それだけ俳優の縁起が光ってキャラも立っていたのだろう。対して主人公ジェイクには共感はしつつもそこまで注目はできなかった。その理由はアロンゾに信念があるのに対して、ジェイクは正義側ではあるが、その正義は新米的立場や設定上難しいかもしれないが、彼に自分を貫く正義というよりは、被害者意識と社会ルール遵守精神、復讐心というような受身的意識以上の信念ある正義感を見れなかったからだろう。
 今回、前もって内容の行末をリサーチせず映画を見終わったので、ラストの終わり方は驚愕はしないまでも意外感はあった。しかし、それを改めて考えてみると、リアリティのある終わり方は胸糞悪かったり、爽快感がなかったりするんだろうなとも考え直した。爽快感のあったり、泣ける映画はエンターテインメントとしてはよくできているが、リアリティを追求すれば、物語の終わりはバッドエンドやハッピーエンドというようなラベルの範疇に収まらないだろう。今作がどっちにも入らなかったと言っているわけではないが。
 最後に、見終わった後にWikipediaで調べてみると、作中のロスのストリートギャングの縄張りは実際の縄張りで行っているとのことで、、なるほど、リアルに仕上がるわけだなと考えた。
 アロンゾ役のデンゼル・ワシントンは今作品でアカデミー主演男優賞を獲ったようだ。

葵須