「ジャン・レノとヴァンサン・カッセルのバディ刑事の魅力」クリムゾン・リバー bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ジャン・レノとヴァンサン・カッセルのバディ刑事の魅力
フランスのミステリー小説を、2001年にジャン・レノ主演で、ヴァンサン・カッセル共演によって映画化された、サイコ・ミステリー。単なる殺人事件の物語としてではなく、20年に渡る呪縛と怨念、そして、本作の舞台となったアルプスの山々の麓にある大学に隠された秘密が絡まり合った、極上のサスペンス・ミステリーとして仕上がっている。
冒頭、胎児の様に恰好で、両手首を切り落とされ、目玉をくりぬかれ、拷問の跡が残るショッキングな被害者の遺体を目の当たりに映し出し、その残虐さとグロさを突き付けてくる。それによって、恐怖を煽り、グッと物語へと観る者を手繰り寄せる。また、雪に閉ざされた山奥の大学という閉鎖的な環境も、逃げ場のない猟奇的な殺人事件には、相応しい舞台設定だ。
そんな猟奇事件発生の知らせで、事件解決の為にパリから駆け付けたのがジャン・レノ扮するニーマンス警視。殺害された遺体を手掛かりに、捜査を始める。一方で、10歳で事故死した少女の墓が荒され、と同時に学校での盗難事件が発生。そちらの捜査に当たっていたのが、ヴァンサン・カッセル演じるマックス刑事。一見、繋がりのないように見えた2つの事件が、大学に隠された忌まわしき秘密が明らかになっていくと、次第に絡み合い、殺人事件に関する驚愕の真相へと結びついていく。
3人の残虐な殺人事件が繰り広げられるわけだが、決してグロさだけを全面に押し出す内容ではなく、フランスとナチスの黒歴史もひと役買う中で、20年に渡る怨念が、二重にも三重にも重なり合ってくる。そして最後に見えてくる真相と雪山でのクライマックス・シーンには、手に汗を握る。そこをまた、ジャンとヴァンサンのベテランと若手の凸凹コンビの掛け合いが、実に良い。
日本で言えば、横溝正史シリーズのフランス現代版といった内容かな…。個人的にはとても気に入った作品となった。続いて『クリムゾン・リバー2』も、早速、配信で観てみたい。