劇場公開日 1954年4月15日

「多少の引っ掛かりはあったものの流石にヒッチコック」私は告白する KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0多少の引っ掛かりはあったものの流石にヒッチコック

2021年4月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

個人の告白を口外出来ないとの
カトリックの教義に縛られた神父が、
真実を封印したまま、
取り調べ~裁判に臨むとの展開だが、
取り調べの段階では(結果的には殺人動機の
証明とされたが)かつての恋人からの
アリバイ証言により助かり、
裁判では証拠不充分で助かり、
判決後は犯人の妻の行動で助かり、
との他力要素の連続により、
犯人の告白内容を口外するしない以前に
物語の前提としてどう捉えて良いのか、
あくまでもサスペンス展開の手段と捉えれば
良いことなのか悩ましくはあった。

そしてそれ以前に、そもそもが現実では、
もしカトリック神父が犯人の殺人告白を
受けた時の対応として、
もちろん自首を勧めることが基本
なのだろうが、もし応じなかったら、
明言はしないものの例えば捜査機関に
匂わし位はするものなのか、
犯罪は犯罪として通告するものなのか、
実際はどうなのだろうか。

また、一時的では無い、
永続的に他に愛する男性がいるとの前提での
夫婦関係が現実にあり得るのか。

この2点がどうしても話の進展の中で
引っ掛かり続けて少し興を削ぐ感じの鑑賞
にはなったが、
中盤のかつての恋人のアリバイ証言で
神父の疑いが晴れてしまっては、この先
どう展開させるのかと想像を巡らされたり、
終盤は神父は犯人に射殺されてエンドマーク
かなとの推理が外れたりとの、
最後まで飽きさせることなく映画の世界に
没入させてくれたのは、
流石にヒッチコックと
納得の一作ではあった。

因みに、イギリス時代の数作と
アメリカ時代のほとんどを観ている
ヒッチコック映画の中では(「私は告白する」
は数少ない未鑑賞作品のひとつでした)、
「レベッカ」と「サイコ」
が特に好きな作品です。

KENZO一級建築士事務所