ロスト・チルドレンのレビュー・感想・評価
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アイディアを大量に鍋に投げ込んだのにあんまり煮ていないような映画
1991年の「デリカテッセン」に続く2本目のジュネ&キャロ共同監督・脚本長編映画です。
さらわれた弟を取り戻すために奮闘する孤独な大男と謎の3つの集団の物語ですが、なにしろ思いついたアイディアを大量に鍋に投げ込んだのに、あんまり煮ていないような映画です。
集団1:シャムの双生児強欲おばさんに率いられた孤児院の窃盗団。
集団2:幼い子どもたちを誘拐してまわる新興宗教「1つ目団」。
集団3:妙な装置で子どもから夢を盗もうとするマッド・サイエンティストと彼に仕えるクローン人間の家族と謎の脳みそ。
大道芸人として働く、ちょっと頭の弱い怪力男、ワン。
親方が何者かに刺殺されますが、理由はよくわかりません。
愛する弟を1つ目団にさらわれてしまいます。
子ども窃盗団の女盗賊、ミエット(欠片)とひょんなことから知り合いになり、行動を共にすることに。
ノミのサーカスおじさんとか、海底に住む変人とか、魅力的なキャラクターや動物たちが入り乱れて活躍します。
ルックはファンタジーですが、悪役は焼死したりモリで刺殺されたりと残酷で、子供向け映画ではありません。
一番の欠点は、3つの集団の関係性がいまいちよくわからないこと。あと、マッド・サイエンティストと助手たちの関係性もわからないし、彼らの目的もわかりません。美術に凝りすぎてストーリーを練る暇がなかったのでしょうか。名作「デリカテッセン」のようにシンプルで分かりやすいストーリーにした方がよかったのでは。世界観は好きですが、物語とキャラクターの設定が理解できずに退屈でした。あと、おっさんワンと美少女ミエットの関係性が不健全に見えてしまいます。ワンは腕に「ミエット命!」という入れ墨まで入れちゃうし…。ロリコンかよ!?美術10点。演出5点。キャラクター4点。音楽3点。ストーリー2点。
気がついたらエンドロール
完璧に構築された独特の作品世界。ひたすら暗く重い世界で怪力男の優しさに救われる。
子どもの時によく見た夢
見世物小屋の世界、同じ顔&同じ顔(ピノンの顔はどんなに沢山あっても嬉しい)。ダイアン・アーバスの写真集「フリークス」から抜け出てきたみたいな登場人物勢揃い。ミエットはかっこよく美しくもあり、大人か子どもかわからない。脳みそが液体に浸かっている実験室。子どもの時によく見たような悪夢の中に思いきり入った。
笑える人物達、湿気の多い美しく妖しい美術、耳から離れない音楽、近未来のようでもあり、エレファントマンの産業革命の社会のようでもあり。リンチ監督の世界に触れたようで切なくなった。
大人子ども男女問わず「げっぷ」をするシーンが欧米映画・ドラマに多いことを発見した(TVドラマ「ハンニバル」にもあった!)。
英語でもイタリア語でもドイツ語でもなく、フランス語であることがなんだかよかった。
絵本を広げたような
ン十年ぶりに再鑑賞。
1回目は、小説版「パプリカ」を読んだ頃に見ており、とてもリンクした。
夢が盗み、盗まれ、共有し、その中へ出入りする。
「デリカテッセン」で作風は心得ていたため、むしろコレコレ感にも酔いしれる。
美しく細部まで作り込まれたセット(最近では「哀れなるものたち」もこの系列)、予定調和も凛々しいヒーローも現れないヘンテコながら愛おしいキャラたち。
おとぎ話だからこそ、決して大人に庇護されることのない凛々しく活躍する子供たち。
中でも主人公の女の子はカリスマだ。
ラストの一騎打ちでのトランスフォームと倒錯は、今見ても大迫力。
冒険譚として様々な仕掛けもあり、クスリと笑う所もあり。
しかしながら楽しい夢を見られない事も、そもそも人造人間たちのどこかか弱く哀れな様が、誰を責めるでもない幕引きに何とも言えない後味を残す。
そういえばおとぎ話はいつもどこかに、不穏を忍ばせていた気がする。
またセットの一部のような、完全にデザインされたゴルチエの衣装がいい!
どのショットを切り取っても、それこそ絵本を広げたような美しさがあった。
もう時間が経ちすぎていて無理は承知も、続編があればぜひとも見たい1本である。
【ジャン=ピエール・ジュネ監督が拘るレトロ・フューチャーな世界観と、”そんな人いないだろう!”と言う摩訶不思議な登場人物に魅入られた作品。】
ー 総製作費14億円をかけて巨大スタジオセットを建造。不器用な怪力男と孤独なストリートキッズとの触れあいを美しくも不思議な世界で描き、観る者を優しい気持ちにさせる作品。ー
◆感想
・荒廃した近未来の港町。大道芸人の怪力男・ワン(ロン・パールマン「薔薇の名前」のインパクト大)は、一つ目教団に幼い弟をさらわれてしまう。
孤独な美少女・ミエットは、途方に暮れるワンと出会い、教団と戦うことを決意する。
しかし、孤児院を経営するシャム双生児がワンの怪力に目をつけ、悪用しようとし…。
・カテゴリーで言えば、今作は、ダークファンタジーに入るのだろうか。
拘りの小道具や、蚤のアップのシーンなど、魅力タップリである。
・今作まで共同監督をした、マルク・キャロの影響が、ダークテイストを助長しているが、ジャン=ピエール・ジュネ監督単独作の、次作からは、明るいトーンが増してくる。
<マッド・サイエンティストを演じるジャン=ピエール・ジュネ監督作品には欠かせない、ドミニク・ピノンも多数出演・・。
面白きレトロ・フューチャーな世界観を堪能したい。>
「アメリ」「ミックマック」の監督の作品。ダークファンタジーで独特の...
ピノンが1ピノン、ピノンが2ピノン
ミスマッチを楽しむ映画
怪力男のワンの弟が謎の教団に誘拐され、9歳の少女ミシェルと共に弟を...
3.7
フランス版SFX
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