劇場公開日 1988年12月3日

「実写とアニメーションは同じ原理だ、ということ」ロジャー・ラビット 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実写とアニメーションは同じ原理だ、ということ

2024年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

実写とアニメ―ション融合作品の古典。技術が進歩した今観てもその共演の練度が非常に高い。生身の役者とアニメーションのキャラクターに同じ照明が当たっているかのように表現できているのがすごい。役者とアニメーションのキャラクターが連続写真で証拠写真を突き付けられるシーンが好きだ。連続写真は映画の原点だが、その技術的原点は実写にとってもアニメーションにとっても同じものなのだということを端的に示している。
一方で物語的には、アニメーションのキャラクターが暮らす区画と人間が暮らす区画は区分けされているという設定になっている。そして、インクで描かれたアニメーションのキャラクターは水に弱いという特性を持っていて、人間とは異なる種族であることも強調される。その違いを強調する物語に多少の切なさを感じながらも、人とアニメーションキャラの共存できるこの世界が楽しいし、ワクワクさせてくれる。CG以前の時代のアメリカのアニメーションキャラクターのデザインの良さも堪能できる。

杉本穂高