ローリング・サンダー(1977)のレビュー・感想・評価
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心に残る傑作
なにか既視感があると思ったら、この映画の原作をタクシードライバーの脚本家が担当していた。
どんどん鬱憤が溜まり、最後に殴り込みに行く。タクシードライバーと似た展開。
だが、この「ローリングサンダー」のほうが主人公にあまり気持ち悪さがない。タクシードライバーでは、大統領を暗殺しそうになったり、情緒不安定な主人公だったが、こちらは、終始冷静で潔い。
妻と子供を寝取られ、更に強盗に殺害され、自身の手を切断される。しかし、全く悲しそうな表情を見せない。拷問による精神の異常によるもの、と説明できなくもないが、もう観客には理解し得ない狂気を主人公は孕んでいるのだろう。
後半、ジョニーが父親にサヨナラをするシーン。家族の中で父親だけが何かを予感している。
不可解だが、厚い信頼関係で結ばれている主人公とジョニー、最後には復讐を遂げる。
この映画の展開を一つ一つ説明するのは難しいだろう。なぜ主人公はここまで冷静なのか、なぜジョニーは主人公に協力したのか、などなどいろいろな疑問が浮かぶも、戦争が生んだ影が映画全体を包み込んでいて、重厚な説得力をもっている。
タランティーノがこの作品をお気に入りの映画と公言しており、舞台となるエルパソという地名はタランティーノ作品に頻繁に登場している。
数々のその後の映画に影響を与え、70年代の陰鬱な雰囲気を完璧に表現した、タクシードライバーとならぶ名作。
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