劇場公開日 2024年4月5日

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「ヨーロッパの解放とウィリアム・ワイラーのリアリズム」ローマの休日 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 ヨーロッパの解放とウィリアム・ワイラーのリアリズム

2025年10月8日
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鑑賞方法:映画館

【後日談】
アン王女は故国に戻り、父王の死後、王位を継いだ。そして彼女は議会を設置し憲法を制定するなどして民主化を進めた。最終的には彼女は王制を廃止して、王国は共和国に移行する。退位後は郊外の農園に隠棲して暮らした。生涯結婚することはなかった。
ローマ訪問後、30年が過ぎたある日、彼女の元をジョー・ブラッドレイとアービング・ラドビッチが訪ね、昔の写真をみてローマでの休日を懐かしんだ。
→私が勝手に想像したものです。

昔から何故ローマなのか、何故パリではないのか、と疑問を持っていた。これはやっぱりオールロケで撮影するという前提ではパリは制約が多いということだったのでしょう。実際、オードリー・ヘップバーンはこの4年後に「パリの恋人」に出演しているがミュージカルとは言えセット撮影が多くヌケ感はない。
ウイリアム・ワイラーが表現したかったのは、解放されたヨーロッパ、急速に民主化されたヨーロッパで、王女の冒険と恋を描く、そのワクワクするような新しさ、明るさだったのだと思う。それにはローマの陽光と猥雑さが必要だったのでしょう。
今、改めて映画館でこの作品を観るとスタンダードサイズであるため窮屈さはあるものの、パンフォーカスカメラによる背景の深さと鮮明さが画面全体の明るい基調を引き出している。(スペイン広場のショットやラストの宮殿のシーンなど)それがウイリアム・ワイラー流のリアリズムだったのだと思う。
でも、今回より強く感じたのは、室内やカフェでのシーンの作劇、作画の巧妙さ。実に楽しくコメディを見せてくれています。やっぱりこの辺はアメリカ人の監督だからですね。

【後記】
と、グタグタいつものようにレビューを書いてきましたが、正直なところ、多分、ビデオ鑑賞もいれて数十回は観ているので、さすがに飽きました。
この作品は英国王室のマーガレット王女がモデルだと言われているのですが、お姉さんのエリザベス(Ⅱ世)との一夜の冒険を描いた「ロイヤルナイトアウト」は素晴らしく面白いのでおなじく見飽きた方はこちらをどうぞ。

あんちゃん
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