「オードリーの可憐さ」ローマの休日 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
オードリーの可憐さ
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総合:90点
ストーリー: 80
キャスト: 95
演出: 80
ビジュアル: 65
音楽: 65
オードリー・ヘプバーンの映画は10作品以上見ているが、中でもこの彼女の初主演作品は個人的に最高傑作。名前は知っていても世代も違うしそれほど興味もなかったオードリーだが、この作品で彼女が好きになった。
作品中で見せる彼女の若く新鮮で爽やかな笑顔が実に可愛らしく、毎日続く義務に疲れて大使館を抜け出し庶民がするように街を探索する純粋な王女役を、実に可憐に演じていた。王女として義務を果たしている時の感情を押し殺した彼女と、街を歩きながら自然な感情を素直に出している時の彼女の対比によって、彼女が初めて体験する庶民の生活を心から楽しんでいる姿がさらにはっきりと描き出されている。ローマの観光名所をいくつも網羅することで、こちらもローマ観光を楽しんでいるように思わせる。わずか一日という限られた時間ながら、たくさんの忘れられない経験をすることが出来た。惜しむらくは美しい街並みをはっきりと表現することが出来ない白黒の映像である。
そしてグレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーンの、短いながら真実の心の通い合いがまた純粋で心に染み入る。だから最後の場面で、立場の違いによって出来るどうしようもないやるせなさと寂しさが余韻となってそこに残った。
有名な真実の口の場面で、グレゴリー・ペックが手を噛まれたふりをしてヘプバーンを騙すのは彼の即興らしく、だからヘプバーンの驚きの感情も自然。
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