「MONONOFU MEETS COWBOY」レッド・サン 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
MONONOFU MEETS COWBOY
天皇から大統領への献上品をアラン・ドロンに盗まれた三船敏郎がおかしな成り行きでチャールズ・ブロンソンとバディを組んでアラン・ドロンの行方を追う異色西部劇。
『チート』や『東京暗黒街・竹の家』のようにステレオタイプな日本像を面白おかしく誇張した作品かと思いきや意外にもそんなことはないのがよかった。ただ、その代わりインディアンに対する認識は『駅馬車』で止まっている。インディアンたちは立ち位置の異なる三者の複雑な人間関係を強引に精算するデウス・エクス・マキナとして動員され、そして惨殺される。
とまあ問題は多いのだけれど、ブロンソンが三船の武士道精神を理解していく過程はとても丁寧だったと思う。
はじめは三船に差し出された魚の干物を草むらに捨てていたブロンソンだったが、寝食を共にする中で三船の実直な生き様に少しずつ心を開いていく。ただ、ブロンソンのほうにもカウボーイとしてのプライドがあり、そこだけは彼も絶対に譲らない。理解は示すけれど、相手と自分の間に一線は引く。それはある意味で三船という異文化に対する最大限のリスペクトであるといえる。安易で楽観的な「分かり合い」に甘んじず、理解のソードラインを互いに明示したうえで慎重に手を取り合う。
あとウルスラ・アンドレス演じるクリスティーナの二転三転ぶりがよかった。利害に振り回されているというよりは強靭な生存本能を発揮して主体的に動いてさえいる感じがカッコいい。
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