劇場公開日 2024年1月5日

  • 予告編を見る

レザボア・ドッグスのレビュー・感想・評価

全130件中、21~40件目を表示

5.0ここから新たな映画史は始まった! 1992年のハーヴェイ・カイテルをはしごする、その1

2024年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

おおお、新宿ピカデリーが満席じゃないか!!!
公開して1カ月くらい経つリヴァイヴァル上映なのに、ちょっとこれ、凄くない???

客席をざっと見ると、7割くらいは若者たちといった印象。
タランティーノが「バリバリ現役」の人気監督であることを痛感する。
きけば、劇場公開は30年ぶりらしい。
そりゃ、観ときたいよね、大画面で。

すでに暗記するくらい観直していて、DVDも持っている映画に敢えて足を運んだのは、単に大スクリーンで観たかったというだけではない。
ちょうど新宿のシネマートでは、アベル・フェラーラの『バッド・ルーテナント』も現在公開中で、この二作、実は「どちらもハーヴェイ・カイテルが主演」で、「どちらも1992年の映画」なのだ。
スコセッシとの共同作業で、初期の代表作に立て続けに出演したあと、『地獄の黙示録』降板劇でハリウッドを追われ、イギリスでリドリー・スコットの映画に出ながら捲土重来を期していたカイテルが、『テルマ・アンド・ルイーズ』(これももうすぐリヴァイヴァル上映がかかるらしいけど)と『バグジー』で復活ののろしをあげたのが、1991年。
1992年は、まさにハーヴェイ・カイテルにとって「勝負の年」だった。

この2本の映画を「一日ではしごする」。
自分でいうのもなんだが「天才的なアイディア」ではないだろうか??
我ながら素晴らしい企画力だ。さすがは俺!
というわけでさっそく行ってきました。
そしたら、まさかの「若者で満席」という状況に出くわして驚倒したという次第。
日本も、ほんとまだ捨てたもんじゃないね!!

― ― ―

パンフレットに書かれている、「すべてはこの映画から始まった」という惹句は、必ずしも誇張ではない。
本当に『レザボア・ドッグス』は、映画史上の分水嶺になる映画なのだ。
『レザボア・ドッグス』以前。
『レザボア・ドッグス』以降。
間違いなく、この映画の登場によって、映画の在り方は大きく変わったし、監督の在り方も大きく変わった。

僕は、タランティーノの登場とは、ハリウッドに遅れてやって来た「ヌーヴェル・ヴァーグ」のようなものだったと思っている。『レザボア・ドッグス』はさながら『勝手にしやがれ』のような役割を果たしたというべきか。
タランティーノの立ち位置というのは、実はトリュフォーやゴダールのそれとよく似ている。
旧来の映画産業のシステム内で叩き上げてきたわけではなく、「シネフィル」「批評家」的なスタンスから、いきなり現場に入ってきた人物であること。
(ゴダールたちにとっての「カイエ・デュ・シネマ」が、タランティーノにとっての「マンハッタン・ビーチ・ビデオ・アーカイブ」だった。)
最初は「脚本」の持ち込みからキャリアをスタートさせ、旧カルチャー内のパトロンと伝手をなんとか見出して監督業に乗り出していること。
従来的な「名画」や「文芸作」だけではなく、当時は取るにたらないと考えられていたB級の娯楽映画に積極的な価値を見出し、それらのエンタメ作への「愛」を原動力に映画に取り組んだこと(ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちは、サミュエル・フラーのようなアメリカの40~50年代のフィルム・ノワールと、ヒッチコックのサスペンス映画と、ダグラス・サークのようなメロドラマを高く評価した。タランティーノのB級映画愛好は、これとパラレルな部分がある)。

タランティーノの場合、ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちといちばん異なっていたのは、実作においても、「娯楽映画」の枠から絶対に外れようとしなかったことだ。
彼は、自らのジャンル映画愛をとにかく前面に押し出して、それらのB級娯楽映画のパロディともいえるジャンル映画を撮り続けて来た。
頭でっかちにならず、常に「観客を喜ばせるエンタメ作」を指向してきた。
クライム・フィクション。ブラックスプロイテーション。マカロニ・ウエスタンと任侠映画。ホラー。戦争映画。ミステリー。ハリウッド内幕もの。
彼の映画は、常に愛するジャンル映画群を「リファイン」したものであり、そこにはバッド・テイストや過剰さの引き起こす笑いが散りばめられている。一方で、結果として生み出された作品は、なんだかんだいって常に「クオリティが高い」。
「頭のべらぼうに良いシネフィルが、全力でくだらないB級映画を撮る」というスタンスそれ自体が、おそらくならタランティーノの発明だったといっていいだろう。
「めちゃくちゃ面白くて完成度の高いB級のジャンル映画」というおそろしく歪んだ代物は、タランティーノ以降生み出された、新たな映画的アプローチだった。
(パンフレットに書かれている、「何度も再生できるヴィデオをメディアとして映画的研鑽を積んだ結果、映画の細部にこだわるようになった最初の世代」という視点もとても重要な指摘だと思う。)

やがて、完成度の高いトリッキーな脚本によって、ジャンル映画をポリッシュしたようなウェルメイドな作品群が、インディー・シーンを中心として続々と製作され始める。
こうした「斬新な映像」に「練りに練った巧緻な脚本(およびサプライズド・エンディング)」を絡めた作品群は、腕ぶす新人監督たちの格好の実験場となり、この流れは世界の隅々にまで広がってゆく。
一方で、タランティーノ以前から「タランティーノ好み」の映画を撮っていた深作欣二や北野武、ウォン・カーウァイらに対しては、積極的にタランティーノの側から「リスペクト」を示し、全米公開の労をとったりもしている。
自作では新たな映画観を呈示し、更新しつづけながらも、新人を積極的に引き立て、過去作品を掘り起こし、「タランティーノ好み」の世界観を拡大し続ける。
彼のやっていることは、江戸時代でいえばまさに「本阿弥光悦」に近いような「実作も超一流の目利き」としての「価値観の再創造」を促してゆく仕事であり、あるいは、モダンホラーにおける「スティーヴン・キング」に匹敵する役回りを示してきたともいえる(キングは「帯推薦」で新人を庇護し、評論において過去作を激賞することで、自らの「傘」の下に多くのホラー作家を従えてきた人だ)。
タランティーノは、1970年代の(当時、評論筋からはバカにされきっていた)大衆向け娯楽映画の再評価と実作への援用によって、「趣味性」と「偏愛」が立派に「作家性」たりうることを証明し、1990年代以降の「映画の在り方を根底から変えて」みせたのだ。

― ― ―

エルモア・レナードの香りが濃厚な1990年代の初期3作と、より趣味性とドギツいアホネタ度が高まった『キル・ビル』以降(2000年代以降)の作品群には、テイストにそれなりの懸隔があって、個人的には、やはりタランティーノの最高傑作といえば『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』にとどめを刺すと思っている。

アメリカの映画史上、強盗団を主人公にしたフィルム・ノワールは、それこそ星の数ほど作られてきた。しかし、後にも先にも『レザボア・ドッグス』ほどに面白い映画はないし、作られて30年以上が経った今観ても、まったく古びていない。

考えてみると、話のネタ自体は、決して斬新というわけでもない。
強盗団の作戦失敗。疑心暗鬼による自壊劇。
潜入捜査官と犯罪者の駆け引きと友情。
これらの作品内イベントには、多くの人々が指摘する旧作の前例がある。

やはり、今回久しぶりに観直して痛感したのは、なんといってもこの映画は「リズム」が良い。画面の切り替え、役者の演技のメリハリ、音楽のインサート、すべての「間合い」が、絶妙にスタイリッシュで素晴らしいのだ。

それから、リアリティと嘘くささのバランスが絶妙だ。
いかにもそのへんの「輩」がほざいていそうなセリフと、妙にインテリくさい「ライク・ア・ヴァージン論」や「チップ論」の対比。
各キャラの言動に見られる現実感と、フィルム・ノワールに由来する「いかにもな型どおりのギャングしぐさ」の按分。
生っぽいのに、作り物くさい。そこがいい。

もうひとつ、「笑い」と「残酷さ」の兼ね合いが絶妙だ。
たぶん、元ネタとされる『現金に身体を張れ』や『友は風の彼方に』とは一番異なる、タランティーノ独自の「核心」ともいえる部分こそが、この「笑い」の感覚なのではないか。
90年代以降、われわれはこのタランティーノの「笑い」の嗅覚に憧れ、タランティーノが面白いと思うことを自分も面白いと思えるような思考を鍛えることを望み、タランティーノ好みの映画観に寄り添って映画を観ることを強いて来た部分が、間違いなくある。
とくに僕のように、『キネマ旬報』(敵視していたw)や『スクリーン』(バカにしていたw)ではなく、『映画秘宝』をもっぱら愛好してきたような映画ファンの場合、タランティーノの「笑い」への憧れは滅法強かった。
ファックの連呼に笑い、マドセンのダンスに笑い、耳そぎに笑う。
真顔で色名の綽名をつけるジョーに笑い、結局ほとんど出てこないブルーに笑う。
自分を撃った素人のババアを条件反射で容赦なく撃つティム・ロスに笑い、
友と信じた男の裏切りに男梅のように男泣きする男カイテルに笑う。

タランティーノが面白がっている「細部」に共鳴できるか、自分もそれを面白がれるくらいの「マニア性」や「B級映画愛」があるかをはかられている、タランティーノ体験には、なんとなくそんな「試されている」ようなところがある。肩を組んできたタランティーノに「どうだい、イカすだろ??」とささやきかけられているような。

で、「リズム」が良くて、リアリティ・バランスが良くて、「笑い」と「残酷」さの按分が良くて、というのは結局のところ、タランティーノの「センス」が良い、という話に尽きるわけで、誰にでも似たような話は作れても、誰ひとりとして同じ出来の映画を真似することはできないという結論になる。
実際、どこか初々しい生硬さがあちこちに残っている『レザボア・ドッグス』のほうが、作品の純度の高さは『パルプ・フィクション』より上な気もするし、タランティーノ自身、その後も『レザボア・ドッグス』ほどに「鮮烈」な印象を与える映画は作れていない。
タランティーノにとっても、『レザボア・ドッグス』は唯一無二の作品なのだ。

この映画の特別さを語る上では、本作を足掛かりに「さらなる高み」を目指していた(ハーヴェイ・カイテルも含めた)出演俳優たちのギラギラした大熱演ぶりも、大きな役割を果たしていると思う(とくにスティーヴ・ブシェミとマイケル・マドセンはほんとに良い)。一方で、ブルー役に敬愛する元犯罪者エディ・バンカーを出演させるあたり、やっていることがゴダールと本当によく似ている。

ハーヴェイ・カイテルは、スコセッシ仕込みということもあるのか、演技プランや台詞の繰り返しを多用するクセにデ・ニーロの影を感じないでもないが、スターらしい風格で映画をぐっと引き締めている。彼がいるといないとではまるで違う映画になっていただろう。特にラストシーンは、実は意外に説得力を持たせるのが難しい展開だと思うのだが、カイテルの力業で無理やり押し切った感があって、さすがとしかいいようがない。

個人的には、ガソリンの充満した倉庫で撃ち合いなどしでかしたら、そんなことではすまないだろう、と思うところもあるし、タランティーノ演じるブラウンの死は、もう少しきっちり描いたほうが良かったのではとも思う(初見時、僕はこれって『そして誰もいなくなった』ネタか!と思って、てっきり最後に生き残ったタランティーノがダイヤをかっさらっていくオチかとばかり思って観ていたので、ラストで微妙にがっかりした記憶があるw)

でもまあ、今回観直してみて、やっぱり思いました。
これを超える映画ってのは、そうそう今後も出てこないし、
自分の青春時代にこの映画に出逢えてよかったなと。

みなさん、まだ劇場でやってる間にぜひ大スクリーンでご堪能ください!
あと、パンフレットはマストバイ。この映画をしゃぶりつくすために必要な解説とトリビアのすべてがぎっしり詰まった、超お手頃ガイドとなっていて、マジで素晴らしいです。

コメントする (0件)
共感した! 8件)
じゃい

4.5【全く色褪せない興奮再び‼︎】

2024年1月28日
iPhoneアプリから投稿

学生時代に観て以来の鑑賞。まずポスターがカッコいい。ワクワクする心地良いテンポ、卑しい内容なのに何故かスタイリッシュな会話の遣り取り、George Baker「Little Green Bag」、Blue Swede「Hooked On A Feeling」、Joe Tex「I Gotcha」他、今もCM等々でお馴染みの時代を象徴する音楽選曲(Madonna「Like A Virgin」はタランティーノ演じるMr. Brownの独り善がりの講釈のみ、冒頭のこのdinerで円卓を囲んでの与太話シーンは秀逸🤣)と、あっという間の上映時間99分。

本作に影響を受けたり、オマージュした作品が幾つあるのだろうと改めて思わせてくれる。気を衒ったようで計算され尽くした観る者を惹きつける脚本と編集、狂気とクールが錯綜する予測不能のスリリングな展開と人物設定の妙は、全く以て色褪せるどころか四半世紀を経ても新鮮でさえある。マカロニ・ウェスタンのような古典的雰囲気漂うラストシーンも知ってて観ても見事な終幕。

ここ最近の名作傑作デジタルリマスター版リバイバル公開の潮流に感謝!この機会がなければもう観てなかっただろう、今後とも是非お願いしたい‼︎

コメントする (0件)
共感した! 2件)
Chang Koh

4.024-014

2024年1月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

オレンジ、作中ほぼ死にかけてる男
ピンク、なんだかんだで逃げ遅れた男
ブランド、義理堅いがイカれてる男
ブラウン、マドンナの話だけして死ぬ男
ブルー、存在感なく死んだ男
ホワイト、情に絆されて翻弄される男

タランティーノの第1作、
楽しめました。
30年前の作品とは思えない名作。
デビュー作でその才能が爆発してますねぇ。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
佐阪航

4.5今となれば奇跡のキャスティング

2024年1月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

タランティーノの監督第1作。映画凍結期の作品なので今回の再映は本当に嬉しい☺️

で、やっぱ痺れました。

自分は圧倒的にマドセン推し‼︎
皆さんはどうなのだろう。

それにしても冒頭のくだらない会話の楽しさといったら。Madonna の “Like A Virgin” は巨根の👨と出会った👩の歌だったのですね。メチャ納得しました。

コメントする 1件)
共感した! 2件)
エロくそチキン2

5.0映画オタクによるミクスチャー音楽のような…

2024年1月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

新しい映画だ。改めて見直すとタランティーノの原点であり、彼の作品のエッセンスが全て詰まった面白さが溢れ返る。映画好きの鑑賞者は思わずニヤリとするシーンも多々あり、サントラもバツグンにカッコいい。俳優たちも灰汁が強くて曲者揃いなのも魅力の一つである。映画と音楽オタクが作品を作り出すとこれほど見応えのある濃密な作品が出来ることの証明でもある。数年後、彼の最高傑作だと私が思っている「パルプフィクション」が作られるのも良く理解できる。オタクにチンピラ要素を混ぜて、彼のダンディズムで作り出せば、こういうのが出来上がる訳だ。アクション映画史へのオマージュとも、取れなくもない。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
shanti

3.5この小ネタでよくこねました

2024年1月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

タランティーノ監督のデビュー作品。
ハーベイ・カイテル目当てでデジタル・リマスター版を鑑賞。映像はとても鮮明できれいだった。
実際の宝石強盗場面はなし。
潜入捜査官(警察の犬)が仲間の中にいなきゃ失敗しなかったとホワイトとピンクが瀕死のオレンジ(ティム·ロス)をほったらかして、腹を探り合う。集合場所の倉庫で横たわるオレンジの出血量は相当なものなのになぜか顔色は最後までまずまず保たれていた。最期は三つ巴で撃たれ、深傷を負ったホワイトに応えるオレンジ。義理人情に熱いホワイトにせめてもの恩返しと思ったのか、どうせ二人共おしまいだと思ったのか?
ティム·ロスって、顔は真面目なのにコメディ味のある演技派だねぇ。インクレディブル・ハルクなんかみると完全に三枚目だし。
ハーベイ・カイテルが脚本を気に入って主演とプロデュースを買って出た二人にとってラッキーだった作品。
ブラウン(Qタランティーノ)のライクアパージンのくっだらない解釈のオープニングはまるで落語のマクラ。
プロの強盗なのに1ドルのチップもケチるピンク。
最後、ピンクはきっと逃げたね。
なんか落語っぽい。
コードネームが色。笑点?
黄色はさすがにイヤだねぇ。
この小ネタで2時間近く引っ張るなんて、当時としては新鮮で、そりゃウケるに違いないや。

ブルーが無口で一番悪そうだと思ったら、エドワード・バンカー、本物の元·犯罪者でした。

コメントする 2件)
共感した! 7件)
カールⅢ世

4.5くだらいことに意味ある

2024年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

知的

何度も観たけれど、映画館では初見。映画館でみると低予算で作れられているな~としみじみ思う反面、家で観るより面白く感じました。
テンポが良い。
小気味よい会話劇サイコー。
良く纏まっている。
時間も丁度いいくらい。
良くてできている。
大金使わなくても脚本と構成と役者が上手ければ映画ってのは面白いって思えるお手本のような作品。
舞台劇のような作品なので役者がシッカリしてれば、リアリティーレベルが「どうのこうの」というお話でもないです。
銃も重みがあって良い感じです。
「血は相変わらず出すぎやな」とは思いましたが。
今まで気が付かなかった役者の細かい表情、演技も映画館だからか気づけたのでしょうか、それともそこに気がつけるようになったのか。
スクリーンにかかった時は観れなかった、古い映画を上映してくれるのは本当にありがたいです。
トランプの踊りを何処かで見たなことあると思っていたら、Mr.ブロンドのダンスでした。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
93q2q2

4.0ここから始まるタランティーノの世界

2024年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

クエンティン・タランティーノ1作目の監督作品。
ここから始まるタランティーノの世界。
冒頭の意味のないおしゃべりシーンから
この映画が他とは違う雰囲気を漂わせる。
100分と短いけれど濃い映画。
ほとんど倉庫内での展開ですがずっとヒリヒリします。
この映画は脚本がしっかりしているからいつまでも楽しめます。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
tom

4.0軽妙洒脱な音楽と凄惨な銃撃戦のアンバランスなバランス

2024年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1991年に制作されたクエンティン・タランティーノ監督のデビュー作が、デジタルリマスター版で上映されるというので観に行って来ました。強盗団のボス・ジョーとその息子・エディが、6人のプロ強盗を集めて宝石店を襲ったものの、情報が警察に漏れていたらしく、強盗団は窮地に追い詰められていくというお話でした。
本作の面白さは、銃撃戦や”警察の犬”が誰であるのかという謎解きにもありましたが、冒頭のレストランのシーンで繰り広げられる、強盗団たちの卑猥で差別的で文字通りクソッタレな会話に代表される、登場人物たちのセリフ廻しにあったように思います。ドンパチにより直ぐに人が撃たれるシーンが連続しますが、そうした実弾のやり取りよりも、セリフのやり取りの方が刺激的に感じられたというところです。
また、最終的に”警察の犬”だった強盗団の一員が、自分を最後まで庇った別の一員に自らの正体を明かし「すまない」と謝るシーンは、凄く日本的な感じがして、それまでの凄惨なシーンや下卑た会話などが吹っ飛んでしまい、実に感動的な気分に浸ることが出来ました。それぞれ注目するところは違うかも知れませんが、やはりクエンティン・タランティーノの名を世界に知らしめた作品だけのことはあると感じました。

終盤の見所である3人の登場人物が銃を向け合うシーンは、”メキシカン・スタンドオフ”というそうですが、個人的にこのシーンには疑問が残り、今一度ここを確認するために観てみたいと思うところです。
因みにこのシーン、発表後しばらくして香港映画の「友は風の彼方に」のパクリではないかという指摘を受けたそうだけど、タランティーノ本人は「続・夕陽のガンマン」のオマージュだと言って憚らなかったそうだ。

あとセリフ以外にも印象的だったのが音楽。レストランでの強烈な会話のシーンの後、強盗に出陣するシーンに掛かるのが「リトル・グリーン・バック」。どこかで聞いたことがある曲だなと思ったら、サントリーのウイスキーのコマーシャルソングとしても使われてました(笑)それ以外にも、1970年代を中心としたサウンドトラックは、いずれも銃撃戦や下品な会話には似つかわしくない明るく軽妙洒脱な曲調の曲ばかり。こうした曲と似つかわしくない凄惨な銃撃戦シーンというアンバランスを、見事にバランスさせていたことも、タランティーノの名を高からしめた一因だと確信しました。

最後に「レザボア・ドッグス」という題名について。”警察の犬”が誰であるかがテーマの一つであることから、”ドッグ”というのはそのことなのかと思いましたが、英語の”dog”には、そもそも日本語の”犬”にあるような”スパイ”とか”回し者”と言った意味合いはないようでした。敢えて言うなら”poodle”(プードル)とか”lapdog”(ラップドッグ=イギリス原産の愛玩用の小型犬だそうです)には、”人の言いなりになる人”という意味があるそうですが、本作の登場人物とは正反対の人物像という感じです。そもそも題名は”ドッグス”と複数形になっているので、1人だけ紛れ込んでいると思われる”警察の犬”を現した言葉ではないものと思われます。むしろ、何にでも噛みつく”狂犬”を意味したものと考えると、しっくりと来る気がするところです。
また”レザボア”とはどんな意味なのか?辞書を調べると、”reservoir”とは①タンク、②貯水池、③蓄積と言った意味を持つ単語らしいです。となると、「レザボア・ドッグス」を直訳すると”何かを貯めた犬たち”みたいなことになりますが、さっぱり訳が分かりません。ネットで調べても諸説あるようで、こうやって観た者に色々と推理させることが、タランティーノ監督の主眼だったんじゃないかと捉えることにしたところです。

そんな訳で、”メキシカン・スタンドオフ”に関する若干の疑問も残りつつも、セリフや音楽、そして迫真の銃撃戦と、色々と楽しめる要素が満載だった本作の評価は、★4とします。

コメントする 2件)
共感した! 3件)
鶏

5.0色褪せぬ傑作

2024年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

久々に観ましたが、やはり最高でした。耳のシーンはギャグですね(笑)。スッキリ!

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ハチ

3.5銃で撃たれたら人は死ぬ

2024年1月14日
iPhoneアプリから投稿

デジタルリマスター版リバイバル上映にて鑑賞。
冒頭のメインテーマからのスーツとサングラスでキメた姿に魅入る。皆それぞれ違った色気を醸し出している。
会話劇がメインでありながら、置かれている状況から緊迫感が常にある。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ななな

4.0今観ても新鮮で傑作

2024年1月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

こうゆう企画はありがたい。名作はやはり映画館で観るに限る。
当時の男子はみんな好きだったんじゃないか?しかし今観てもシナリオは面白いし演出、シナリオも素晴らしい名作。
不条理な気持ちが観終わった後残るがそれはそれで清々しい。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ルイ

4.0ほぼ会話シーンだけなのに

2024年1月12日
iPhoneアプリから投稿

それも半分くらいは本筋とは関係ない無駄話だったりするのに、中弛みがほとんどない。
残酷なシーンでも平凡なシーンでも、撮り方のテンションはほぼ一定。それが逆に凄みを感じさせるのでしょうね。
タランティーノの力量を存分に味わいました。

コメントする (0件)
共感した! 6件)
克晴

4.0人間くさい

2024年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

タランティーノ作品は「パルプ・フィクション」(94)に続き2本目の鑑賞。
レザボア・ドッグスの意味は「たまり場の男たち、盛り場の不良ども」という説や「ネズミを追いかけ回す走狗」という説があるらしい・・・

誰が主役というわけでもないが、黒スーツの男たちが犯行現場での様子から仲間に対し疑心暗鬼のとらわれ「犬」の疑いで展開する会話劇というか群像劇。最初の食事のシーンのカメラワークなどはタランティーノならではなのかというところ。

100分とそんなに長くはないので、会話劇を最後まで一気に見てしまう感じでとても面白かった。
暴力的な場面は多々あります。どんなに悪いことをしてもみんな自分だけは助かりたいと思うんだろうね。そんな気の小さい人間のくさい話でした。

休みの日の新宿は満席でした。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
かちかち

2.5理解できない

2024年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2024年劇場鑑賞7本目。
タランティーノのデビュー作にしてなんか登場人物がかっこいいという話を
聞いていたのですが未見でした。今回デジタルリマスターということで鑑賞。
ちゃんとパンフレットもあるのは良かったです。
いやこれかっこいいか?会話の内容からも、実際映像で見えるところでも善良な
警察官や一般市民など罪のない人があっけなく殺されていくので相当不快。
盟友ロバート・ロドリゲスのレジェンド・オブ・メキシコでのCIA捜査官がうまい料理を作ったという理不尽すぎる理由でシェフを射殺するのも相当胸糞悪かったですが。
なんでこんなクズどもがかっこいいことになってるのか全く理解できませんでした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ガゾーサ

2.5タランティーノ監督のデビュー作品

2024年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

タランティーノ作品のお馴染みの時間軸の入れ替え、自分自身が出演、おしゃれな音楽、長回し、ちょっと下品な言葉を多用した会話劇、派手な銃撃戦は既にデビュー作品から確立している。各俳優の演技もすばらしいが、ストーリー的にはちょっと分かりにくかったかな。でも雰囲気はなんとなく好き。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
canghuixing

4.0祝!鑑賞!

2024年1月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

当時、見逃していて、ドキュメンタリーを先に見ていたので、この作品がいかに名作で革新的だったのかを確信することができたのがとても大きい。しっかりとクライムサスペンスだったし。音楽も良き。ライクアバージンの解釈もさもありなん、と。カラー戦隊ものをそこそこ見ている私としてはそうではないとは承知しているが、アンチテーゼっぽくてちょっとニヤニヤしてしまう…

コメントする (0件)
共感した! 3件)
印刷局員

5.0カッコいい

Mさん
2024年1月10日
Androidアプリから投稿

音楽もストーリーも映画の中の男たちも、すべてがカッコいい。
「リザーブされた犬たち」という意味で、「吹き溜まりの犬たち」ということだろうか。なるほど。

コメントする 5件)
共感した! 22件)
M

3.5この映画は北野武につながっている。

2024年1月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

タランティーノが素晴らしい監督であるのならば、その長編第1作である、この作品も素晴らしいに違いない。文学や映画の分野では、その第1作に、作家の全てが現れるからである。私は、彼の作品の中では、「イングローリアス・バスターズ」が好きだ。彼の作品には、彼、独特の筋立てがある。
1991年に発表されたこの「レザボア・ドッグス」では、6人の男たちが、ジョーとエディの親子に指示されて、LAの宝石問屋を襲撃する。8人という主要人物の数は如何にも多いが、二つの工夫が凝らされている。一つは、6人がホワイト、オレンジなど、6つのカラーで呼ばれたこと。日本人の観客は特に助かった。外国人の名前を一回で覚えるのは難しいから。それにしても、一人一人の性格を示す必要があり、一見、全く意味のないような猥雑な会話が続いたダイナーでの朝食の場面が使われた。6人のなかで、ジョーとエディに一番、信頼されていたのは、ブロンドであることが後から判る。もう一つは、襲撃後、新たな登場人物が一人加わるが、見分けるのは簡単で、一方、襲撃者は二人、減っていたことだ。タランティーノ自身が扮していたブラウンと、ブルーがお役、御免となる。
この映画では、6人がダイナーから出かけたと思ったら、宝石問屋での襲撃場面はすっ飛ばされ、いきなり集合場所の倉庫へと移る。以降も、時間的な経過は自由に入れ替えられ、かつカットされる。
一言で言えば、この映画は、無類の映画好きによる「インディーズ」なのだろう。直接的には、香港ノワールと日本のヤクザ映画の影響をまともに受けている。その背景には米国の犯罪映画を源流に、フランスのゴダールらのヌーヴェル・ヴァーグと、メルヴィルらのフィルム・ノワールが存在する。ビデオ店の店員に過ぎなかったタランティーノは、若い頃、これらの映画を見まくっていたに違いない。彼の映画では、ヌーヴェル・ヴァーグのスピード感や、フィルム・ノワールの持つクールさはやや薄れ、その分、香港ノワールやヤクザ映画から来た残忍さは目立つ。この映画の「レザボア」という題名からも、フランス映画へのオマージュが感じられるが、おそらく言葉の響きだけを取りたかったのだろう。
この映画には、明らかな後継者が存在する。それは北野武だ。ただ北野には、タランティーノの持っていない、日本映画から来た「静謐さ」がある。北野が、今でもそれを大事にしているかどうかは、別の問題だが。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
詠み人知らず

5.0映画に愛された男

2024年1月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』を見た上で鑑賞すると、また違った見方が出来てオススメです。
何度観てもデビュー作で、尚且つ低予算でこのキャスティングは凄いなぁと思うばかり。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
XxTAGxX