レザボア・ドッグスのレビュー・感想・評価
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真面目なタランティーノ
第1作目らしい感じがよかった。タランティーノ自身の演技もよかった。
強盗団のメンバーが集まる最初の場面の会話がいい。悪そうだけど、憎めない。上下関係もなく、冗談を言っているが、時々、緊張感が高まる時があり、引きつけられる。
拷問されている警官のそばで死んだようになっていた男が、突然、拷問している仲間を銃で撃ち殺すシーンは、何度見てもすばらしい。
撃ち殺された男は、撃たれる前に踊りを踊りながら、警官の耳をカミソリで切り取っていたが、肝心の切り取る場面はカメラが目をそむけた。耳が切り取られるのを見ずにすんだので、ほっとした直後に、カメラが切り取られた耳を映し出す。耳のない側頭部も映すが、一瞬だけ。その側頭部は血があまり流れていないので、ちゃんと見たい気もするし、見てほしそうに作っている。
警官を拷問した仲間が殺された後、ホモらしいボンクラに見える仲間がやってきて、拷問した男を撃った男を問い詰める。そのあげく、拷問した仲間を撃った男を殺そうとすると、その男をかばう正義感の強そうな男が立ちはだかる。みんな、それぞれ別の理由で、誰かをかばい、別の誰かの行動のじゃまをする。最後はうまく立ち回って、こっそり隠れていた奴が引き金引いたのかな?
はらはらどきどきする映画でも、ヒッチコックの場合、物事の偶然の成り行きが重視されるが、この映画は、物事の成り行きよりも人間関係に重きが置かれていて、そこが面白い。
ラストシーンの謎
ホワイト、ジョー、エディの三つ巴。三つ巴と言っても銃口はホワイトはジョーに、ジョーはオレンジに、エディはホワイトに、とエディに銃口は向けられていません。
ですがホワイト、ジョー、エディはほぼ同時に倒れています。
「レザボアドッグス エディを撃った」で検索するとなるほどな理由を知ることが出来ました。
また最後オレンジはなぜ自身の正体を明かしたかにも納得な解釈を知ることが出来ました。
軽妙洒脱な音楽と凄惨な銃撃戦のアンバランスなバランス
1991年に制作されたクエンティン・タランティーノ監督のデビュー作が、デジタルリマスター版で上映されるというので観に行って来ました。強盗団のボス・ジョーとその息子・エディが、6人のプロ強盗を集めて宝石店を襲ったものの、情報が警察に漏れていたらしく、強盗団は窮地に追い詰められていくというお話でした。
本作の面白さは、銃撃戦や”警察の犬”が誰であるのかという謎解きにもありましたが、冒頭のレストランのシーンで繰り広げられる、強盗団たちの卑猥で差別的で文字通りクソッタレな会話に代表される、登場人物たちのセリフ廻しにあったように思います。ドンパチにより直ぐに人が撃たれるシーンが連続しますが、そうした実弾のやり取りよりも、セリフのやり取りの方が刺激的に感じられたというところです。
また、最終的に”警察の犬”だった強盗団の一員が、自分を最後まで庇った別の一員に自らの正体を明かし「すまない」と謝るシーンは、凄く日本的な感じがして、それまでの凄惨なシーンや下卑た会話などが吹っ飛んでしまい、実に感動的な気分に浸ることが出来ました。それぞれ注目するところは違うかも知れませんが、やはりクエンティン・タランティーノの名を世界に知らしめた作品だけのことはあると感じました。
終盤の見所である3人の登場人物が銃を向け合うシーンは、”メキシカン・スタンドオフ”というそうですが、個人的にこのシーンには疑問が残り、今一度ここを確認するために観てみたいと思うところです。
因みにこのシーン、発表後しばらくして香港映画の「友は風の彼方に」のパクリではないかという指摘を受けたそうだけど、タランティーノ本人は「続・夕陽のガンマン」のオマージュだと言って憚らなかったそうだ。
あとセリフ以外にも印象的だったのが音楽。レストランでの強烈な会話のシーンの後、強盗に出陣するシーンに掛かるのが「リトル・グリーン・バック」。どこかで聞いたことがある曲だなと思ったら、サントリーのウイスキーのコマーシャルソングとしても使われてました(笑)それ以外にも、1970年代を中心としたサウンドトラックは、いずれも銃撃戦や下品な会話には似つかわしくない明るく軽妙洒脱な曲調の曲ばかり。こうした曲と似つかわしくない凄惨な銃撃戦シーンというアンバランスを、見事にバランスさせていたことも、タランティーノの名を高からしめた一因だと確信しました。
最後に「レザボア・ドッグス」という題名について。”警察の犬”が誰であるかがテーマの一つであることから、”ドッグ”というのはそのことなのかと思いましたが、英語の”dog”には、そもそも日本語の”犬”にあるような”スパイ”とか”回し者”と言った意味合いはないようでした。敢えて言うなら”poodle”(プードル)とか”lapdog”(ラップドッグ=イギリス原産の愛玩用の小型犬だそうです)には、”人の言いなりになる人”という意味があるそうですが、本作の登場人物とは正反対の人物像という感じです。そもそも題名は”ドッグス”と複数形になっているので、1人だけ紛れ込んでいると思われる”警察の犬”を現した言葉ではないものと思われます。むしろ、何にでも噛みつく”狂犬”を意味したものと考えると、しっくりと来る気がするところです。
また”レザボア”とはどんな意味なのか?辞書を調べると、”reservoir”とは①タンク、②貯水池、③蓄積と言った意味を持つ単語らしいです。となると、「レザボア・ドッグス」を直訳すると”何かを貯めた犬たち”みたいなことになりますが、さっぱり訳が分かりません。ネットで調べても諸説あるようで、こうやって観た者に色々と推理させることが、タランティーノ監督の主眼だったんじゃないかと捉えることにしたところです。
そんな訳で、”メキシカン・スタンドオフ”に関する若干の疑問も残りつつも、セリフや音楽、そして迫真の銃撃戦と、色々と楽しめる要素が満載だった本作の評価は、★4とします。
銃で撃たれたら人は死ぬ
デジタルリマスター版リバイバル上映にて鑑賞。
冒頭のメインテーマからのスーツとサングラスでキメた姿に魅入る。皆それぞれ違った色気を醸し出している。
会話劇がメインでありながら、置かれている状況から緊迫感が常にある。
筋が通ってる(ネタバレ有り)
タランティーノの映画については、これとパルプフィクションだけ見てます。
共通してる点としては、やってること自体は人を傷つけてるんだから間違ってるというか悪いことなんだけど、なぜか登場人物本人なりに筋の通った行動だと観ている観客側にも思わせる力がある、というところだと思います。そもそも出てくる人がだいたいみんな悪いやつなのであてにできるのが自分の感情だけっていうのもあるかもですが。
Mr.ホワイト、およびパルプフィクションのブッチが終盤にとった行動は、自分の保身を優先する見方からするとバカなんじゃない?と言わせてしまうような行動なんですが、純粋にこいつが好きだから助けたい、とか、あまりにひどくて見てられないから助けたい、とかそういったある意味自然な人間の感情に任せた行動である(と思われる)がゆえに、すっごくかっこよく見えちゃうんだろうなと思います。三つ巴で銃を突き付けあうときのホワイトの表情はものすごくよかったです。
あと、ピンクはどうなったんだろう。
今観ても新鮮で傑作
こうゆう企画はありがたい。名作はやはり映画館で観るに限る。
当時の男子はみんな好きだったんじゃないか?しかし今観てもシナリオは面白いし演出、シナリオも素晴らしい名作。
不条理な気持ちが観終わった後残るがそれはそれで清々しい。
ほぼ会話シーンだけなのに
それも半分くらいは本筋とは関係ない無駄話だったりするのに、中弛みがほとんどない。
残酷なシーンでも平凡なシーンでも、撮り方のテンションはほぼ一定。それが逆に凄みを感じさせるのでしょうね。
タランティーノの力量を存分に味わいました。
残酷だけど良いところもあった。
男たちが言い争いをしていると、カメラが引いて右端にギャングブロンドの後ろ姿が現る。しばらく眺めていたのかな。このカメラワーク良かった。
宝石店を襲う画面が出てこない。だから、想像力を掻き立てられる。
警官の片耳を切り、オイルに火を着けようとした瞬間、瀕死の刑事がブロンドを銃撃してスカッとした。
人間くさい
タランティーノ作品は「パルプ・フィクション」(94)に続き2本目の鑑賞。
レザボア・ドッグスの意味は「たまり場の男たち、盛り場の不良ども」という説や「ネズミを追いかけ回す走狗」という説があるらしい・・・
誰が主役というわけでもないが、黒スーツの男たちが犯行現場での様子から仲間に対し疑心暗鬼のとらわれ「犬」の疑いで展開する会話劇というか群像劇。最初の食事のシーンのカメラワークなどはタランティーノならではなのかというところ。
100分とそんなに長くはないので、会話劇を最後まで一気に見てしまう感じでとても面白かった。
暴力的な場面は多々あります。どんなに悪いことをしてもみんな自分だけは助かりたいと思うんだろうね。そんな気の小さい人間のくさい話でした。
休みの日の新宿は満席でした。
理解できない
2024年劇場鑑賞7本目。
タランティーノのデビュー作にしてなんか登場人物がかっこいいという話を
聞いていたのですが未見でした。今回デジタルリマスターということで鑑賞。
ちゃんとパンフレットもあるのは良かったです。
いやこれかっこいいか?会話の内容からも、実際映像で見えるところでも善良な
警察官や一般市民など罪のない人があっけなく殺されていくので相当不快。
盟友ロバート・ロドリゲスのレジェンド・オブ・メキシコでのCIA捜査官がうまい料理を作ったという理不尽すぎる理由でシェフを射殺するのも相当胸糞悪かったですが。
なんでこんなクズどもがかっこいいことになってるのか全く理解できませんでした。
スタイリッシュ
スタイリッシュでかっこいいって。舞台はほぼ倉庫なのに、会話と演技だけで作るこの、タランティーノスタイルのかっこよさ。やはり普通ではないタランティーノ。かっこいい。凄い久々に見たが、古さを全く感じない、かっこいい映画。
タランティーノ監督のデビュー作品
タランティーノ作品のお馴染みの時間軸の入れ替え、自分自身が出演、おしゃれな音楽、長回し、ちょっと下品な言葉を多用した会話劇、派手な銃撃戦は既にデビュー作品から確立している。各俳優の演技もすばらしいが、ストーリー的にはちょっと分かりにくかったかな。でも雰囲気はなんとなく好き。
祝!鑑賞!
当時、見逃していて、ドキュメンタリーを先に見ていたので、この作品がいかに名作で革新的だったのかを確信することができたのがとても大きい。しっかりとクライムサスペンスだったし。音楽も良き。ライクアバージンの解釈もさもありなん、と。カラー戦隊ものをそこそこ見ている私としてはそうではないとは承知しているが、アンチテーゼっぽくてちょっとニヤニヤしてしまう…
格好いい犬たち
リバイバル上映ということで、折角の機会だと思い観に行きました!
前知識はあらすじだけです。
雑談からオープニングに入るの格好いい…
黒スーツにグラサン、タバコ、男どもが全員格好いい…
ホワイトなどの過去の経緯に入るところの「Mr.White」ももう格好いい…
そして実際の襲撃シーンは見せずにいきなり襲撃後に場面転換するの面白…!格好いい…!!!
誰が警察の犬なのか、疑心暗鬼の犯人探し、面白い…!
仁義を重んじる(ホワイト→オレンジ、ジョー親子↔︎ヴィック)彼らが良いですね、犯罪集団なんですけども。
オレンジの葛藤が辛い…犯罪集団を一網打尽にするためとは言え、犠牲が多い…
捕まった警官が耳を削がれてもスパイを白状しなかったのとても素晴らしかった…
オレンジが警察の犬だとは思わなかったなぁ、ネタバラシが早い!と驚きました。
最後三つ巴のところ、ジョーの息子撃ったの誰だ…?と謎。
オレンジ←ジョー←ホワイト←エディと撃ってますよね?
あとピンクは外で警官と撃ち合いしてますよね。
見えないところで魅せるのすごいなと思いました。想像力が掻き立てられますね。
最後ホワイトが倒れるように画面から消えるけど、銃声がいくつか聞こえた後にホワイトが倒れてるから、オレンジ←ホワイト←駆けつけた警察官と撃ったのかなぁと思いました。
ホワイトが倒れる前の銃声はホワイトがピンクを撃った音かなぁと思ったんです。
短いけど面白くて大満足です。
ところでブルーの意味は…?
素晴らしかった
公開時劇場で見て、大興奮した記憶が鮮明だ。当時、映画監督を目指していた堀さんと感想を述べあったのだけど、今はどうしているだろう。当時の楽しかったことや苦しかったことが思い出されて、戻ってみたいようなみたくないような、できもしない空想で心がざわついて泣きそうだ。
それから何度も見ていて、役者に明るくなかったのだけど、今回は役者さんをきちんと把握して見るように努めた。5人でやるって言ったのに6人いる。
ブロンド、やばいやつなのに裏切りはしない、信用されている。ブシェミはピンクを嫌がる、誰かが犬だ、今回の仕事はヤバい感じがしたと勘の良さを示す。ホワイトは俺のせいでオレンジが撃たれたと真義の厚さを見せる。オレンジは裏切っていたのに、かばって撃たれたホワイトに真実を告げる。死にかけているのに言われてもな。麻薬犬と警官がいるトイレの嘘話が面白い。各々とてもキャラが立っている。役者さんたちが演じてみたい見せ場が詰まった素晴らしい脚本なのだろう。
この映画は北野武につながっている。
タランティーノが素晴らしい監督であるのならば、その長編第1作である、この作品も素晴らしいに違いない。文学や映画の分野では、その第1作に、作家の全てが現れるからである。私は、彼の作品の中では、「イングローリアス・バスターズ」が好きだ。彼の作品には、彼、独特の筋立てがある。
1991年に発表されたこの「レザボア・ドッグス」では、6人の男たちが、ジョーとエディの親子に指示されて、LAの宝石問屋を襲撃する。8人という主要人物の数は如何にも多いが、二つの工夫が凝らされている。一つは、6人がホワイト、オレンジなど、6つのカラーで呼ばれたこと。日本人の観客は特に助かった。外国人の名前を一回で覚えるのは難しいから。それにしても、一人一人の性格を示す必要があり、一見、全く意味のないような猥雑な会話が続いたダイナーでの朝食の場面が使われた。6人のなかで、ジョーとエディに一番、信頼されていたのは、ブロンドであることが後から判る。もう一つは、襲撃後、新たな登場人物が一人加わるが、見分けるのは簡単で、一方、襲撃者は二人、減っていたことだ。タランティーノ自身が扮していたブラウンと、ブルーがお役、御免となる。
この映画では、6人がダイナーから出かけたと思ったら、宝石問屋での襲撃場面はすっ飛ばされ、いきなり集合場所の倉庫へと移る。以降も、時間的な経過は自由に入れ替えられ、かつカットされる。
一言で言えば、この映画は、無類の映画好きによる「インディーズ」なのだろう。直接的には、香港ノワールと日本のヤクザ映画の影響をまともに受けている。その背景には米国の犯罪映画を源流に、フランスのゴダールらのヌーヴェル・ヴァーグと、メルヴィルらのフィルム・ノワールが存在する。ビデオ店の店員に過ぎなかったタランティーノは、若い頃、これらの映画を見まくっていたに違いない。彼の映画では、ヌーヴェル・ヴァーグのスピード感や、フィルム・ノワールの持つクールさはやや薄れ、その分、香港ノワールやヤクザ映画から来た残忍さは目立つ。この映画の「レザボア」という題名からも、フランス映画へのオマージュが感じられるが、おそらく言葉の響きだけを取りたかったのだろう。
この映画には、明らかな後継者が存在する。それは北野武だ。ただ北野には、タランティーノの持っていない、日本映画から来た「静謐さ」がある。北野が、今でもそれを大事にしているかどうかは、別の問題だが。
映画に愛された男
『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』を見た上で鑑賞すると、また違った見方が出来てオススメです。
何度観てもデビュー作で、尚且つ低予算でこのキャスティングは凄いなぁと思うばかり。
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