レザボア・ドッグスのレビュー・感想・評価
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心地よい緊迫感
冒頭の長話。くだらない話なのだが、始まりから終わりまで緊張感がある。この緊張感は、映画の終わりまで途切れることがない。
個性的で格好良い登場人物達による会話劇。それが一気に畳み掛けるように集結していくラスト、命懸けで自分の矜持を貫き通す男達。
決して特別な中身が有る訳では無いが、彼等の姿には爽快を通り越して快感すら覚える。
改めて傑作
採点4.6
レザボアのリマスター上映、昨年末の上映アナウンスからずっと楽しみにしてました。
何度か見てますがスクリーンでは初めてなんです、どうしたってワクワクするでしょう。
さて、誰もが知るタランティーノ初監督作品。
先に脚本を手がけた「トゥルー・ロマンス」や「ナチュラルボーンキラーズ」での受難。
そしてもう待ちきれないと、友達をキャストに起用して自主制作しようとしていた所に舞い込んだ奇跡的な流れ。
その後プロデューサーとして長い付き合いとなるローレンスベンダーとの出会い。ラブコールを送ったハーヴェイカイテルの快諾と惜しみない協力。彼の特徴となる長回しに反対が多い中背中を押したテリーギリアム。
こんな出会いの連続で産まれた作品なんですよね。
まず冒頭のマドンナの件。こんなどうでも良いような喋りの長回しは見たことが無く、最初から釘付けでした。
そこからの「Little green bag」の入れ方とか凄いですね。今でも鳥肌が立つようなオープニングです。
物語のほとんどを倉庫で展開させ、バックボーンや犯行時の様子を前後に散らせた斬新な構成。
ハーヴェイカイテルをはじめ、男臭いキャスト陣も見所の一つです。
また「パルプ」や昨年公開されたドキュメンタリー「映画に愛された男」を観た後だと、小ネタや裏側が分かり更に面白くなるんですよね。
あと何と言ってもリマスター版はきれいでしたね。
それと音響も良くなってました。
これを劇場で観れて本当に良かったです。
それにしても、これがデビュー作ってすごいですよね。
そして残念ではありますが、次回作にして引退作となる「ムービークリティック」もとても楽しみです。
改めて、傑作でした。
裏切りの犬
もう20年以上前のことだが、この作品と『パルプ・フィクション』を観た時の衝撃は今でも覚えている。
とにかくカッコイイの一言につきる。
タランティーノ監督はゾットするような残虐なシーンとユーモラスなシーンの組み合わせが本当に絶妙だ。
冒頭はひたすら8人の男たちのくだらない会話のやり取りだ。
マドンナの曲に対する卑猥な考察や、ウェイトレスに渡す1ドルのチップの出し惜しみなど、あまりにも幼稚な彼らのやり取りに苦笑してしまう。
が、彼らが堅気の連中でないことは空気感で分かる。
彼らはこれから綿密に立てられたダイヤ強盗の計画を実行に移すのだ。
それぞれにカラーで呼ばれる彼らの姿と、ひとりひとりを際立たせるオープニングのカッコよさが印象的だ。
が、シーンが変わるとオープニングのカッコよさはどこへ行ったのか、血まみれで泣き叫ぶオレンジとそれを必死で宥めるホワイトの姿が映し出される。
どうやら計画は失敗したらしく、集合場所の倉庫へたどり着いたのは彼らとピンクの三人だけだった。
まるで待ち伏せをしていたかのようなタイミングで警官が現れたことから、彼らはメンバーの中に裏切り者がいたことを確信する。
映画は時間を遡って何が起こったのか、そして裏切り者は誰なのかを明らかにしていく。
この時間軸を入れ替える手法は『パルプ・フィクション』で最も成功しているように感じるが、この作品でも実に効果的だと思った。
疑心暗鬼にかられる3人の前に、真っ先に発砲して現場を混乱させた張本人のブロンドが現れる。
とにかくメンバーの中で一番イカれた彼は、ひとりの警官を人質として連れて来る。
やばい展開になるのは目に見えているが、胸糞の悪くなるような描写の後にスカッとするような展開が待っているのもタランティーノの作品の特徴だと思う。
ブロンドは警官の耳を削ぎ落とし、ガソリンをぶっかけて火をつけようとするが、その直後に蜂の巣にされる。
彼を撃ったのはオレンジ。
ここで裏切り者が死にかけのオレンジだったことが分かる。
おとり捜査官である彼が、メンバーに取り入るために売人の小話を暗記するシーンの組み立てはやはりうまい。
とにかくテンポ感の良さがこの映画の魅力だ。
オレンジがブロンドを撃ったことで、物語は急展開を見せる。
オレンジはブロンドが警官と自分を殺してダイヤモンドを持ち逃げするつもりだったと話すが、後から合流したエディがそれを真っ向から否定する。
エディとブロンドはかなり付き合いが長く、しかもブロンドはボスであるジョーの恩人でもあったのだ。
そこへ現れたジョーも直感でオレンジが裏切り者であると決めつける。
しかしホワイトはその判断は間違っていると、必死にジョーを説得しようとする。
逃走中にお互いの身の上話をしたことで二人の絆は深まっていたのだ。
このあたりの二人の関係がもっと掘り下げられていれば、衝撃のラストがさらに印象深くなっていたかもしれない。
銃の乱打戦になり、エディとジョーは即死する。唯一戦闘に参加しなかったピンクだけがそそくさとダイヤモンドを持って逃走する。
が、おそらく待ち構えていた警官に捕まえられたことだろう。
最後に何故オレンジは自分が警官であることを打ち明けてしまったのだろうと考えさせられる。
彼もまたホワイトに情が移り、罪悪感を隠しきれなかったのだろうか。
それとも別の罪悪感から自分も裁かれることを願ったからなのだろうか。
彼は逃走中に自分を撃った一般人女性を射殺してしまっている。
物語的には最悪なラストではあるものの、いつまでも記憶に残る最高のラストシーンだったとも言える。
スイカと天ぷら
映画はひたすら単純明快なエンタメを求めてしまう私にとって、タランティーノ作品はあまり食い合わせがよくないらしく、大変評判のいい三作、パルプ・フィクション、キルビル、イングロリアスバスターズをそれぞれ鑑賞したものの、ああ、そうなのね、ぐらいの感想しか出てこなかった。
ならばと思い、原点に戻って監督処女作となるレザボア・ドッグス、英語の読み方的にはリザーバー・ドッグスになる気がするなーとか思いつつもまあともかく鑑賞。
宝石商の店に強盗に入るために、ロス裏業界の大物ジョーは6人の腕利きを集める。それぞれの腕利きたちは万一逮捕された時のために身分をお互いに把握しないようホワイト、ブルー、オレンジ、ブロンド、ブラウン、ピンクと色の名前で呼ばれる。
作戦決行の当日、店を襲撃した6人だったが、待ち構えていた警官に取り囲まれ、そこで突然キレて発砲しまくったブロンドと呼ばれる男のせいで激しい銃撃戦に。
命からがら逃げてきたホワイト、オレンジの二人は、待ち合わせ場所の倉庫に向かう。
オレンジは逃亡の際に腹を撃たれて重傷、ホワイトがオレンジを励ましつつ車を倉庫に向かわせる。
倉庫に着いて程なくすると、ピンクが一人で戻ってくる。ピンクはひどく興奮し、仲間の中に裏切り者がいると言い出す。でないと説明できないほど警察の到着が早かったと。
彼らは倉庫で仲間を待ちつつ、誰が裏切者かを話し始める。
タランティーノらしく人がバサバサと殺されていくシーンがあるわけではなく、会話の中で激しい銃撃戦があったこと、仲間の何人かは殺されていることなどが分かる。でもいつもよりは血の量は控えめ。時系列を相前後させてそれぞれのキーとなる人物に起こった出来事を振り返りつつ、メインの話の流れに集結させていくのは、伏線回収ではなく今の状況を過去を手繰り寄せて見せていく手法を取っていく。
正直、やっぱりスッキリする感じでも高揚感を感じるでもない結末はあまり得意ではない。けどその後の映画に与えた影響をそこかしこに感じつつ、この監督でなければこの映画は撮れない唯一無二感はしっかり感じる。
きっと好きな人は大好き。そういう映画。
低予算でやれることを全てやり切った。
この映画のすごい所は、同じ所(廃工場)でまるでコント劇の様に繰り広げる展開は、B級映画ならではだけど、ここまでの面白さは、観たことない。いや、とっくに面白いと言う枠を超えている。まだ無名で一般人上がりの監督だったタランティーノがデビュー作でこの快挙はすごい。
ここから新たな映画史は始まった! 1992年のハーヴェイ・カイテルをはしごする、その1
おおお、新宿ピカデリーが満席じゃないか!!!
公開して1カ月くらい経つリヴァイヴァル上映なのに、ちょっとこれ、凄くない???
客席をざっと見ると、7割くらいは若者たちといった印象。
タランティーノが「バリバリ現役」の人気監督であることを痛感する。
きけば、劇場公開は30年ぶりらしい。
そりゃ、観ときたいよね、大画面で。
すでに暗記するくらい観直していて、DVDも持っている映画に敢えて足を運んだのは、単に大スクリーンで観たかったというだけではない。
ちょうど新宿のシネマートでは、アベル・フェラーラの『バッド・ルーテナント』も現在公開中で、この二作、実は「どちらもハーヴェイ・カイテルが主演」で、「どちらも1992年の映画」なのだ。
スコセッシとの共同作業で、初期の代表作に立て続けに出演したあと、『地獄の黙示録』降板劇でハリウッドを追われ、イギリスでリドリー・スコットの映画に出ながら捲土重来を期していたカイテルが、『テルマ・アンド・ルイーズ』(これももうすぐリヴァイヴァル上映がかかるらしいけど)と『バグジー』で復活ののろしをあげたのが、1991年。
1992年は、まさにハーヴェイ・カイテルにとって「勝負の年」だった。
この2本の映画を「一日ではしごする」。
自分でいうのもなんだが「天才的なアイディア」ではないだろうか??
我ながら素晴らしい企画力だ。さすがは俺!
というわけでさっそく行ってきました。
そしたら、まさかの「若者で満席」という状況に出くわして驚倒したという次第。
日本も、ほんとまだ捨てたもんじゃないね!!
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パンフレットに書かれている、「すべてはこの映画から始まった」という惹句は、必ずしも誇張ではない。
本当に『レザボア・ドッグス』は、映画史上の分水嶺になる映画なのだ。
『レザボア・ドッグス』以前。
『レザボア・ドッグス』以降。
間違いなく、この映画の登場によって、映画の在り方は大きく変わったし、監督の在り方も大きく変わった。
僕は、タランティーノの登場とは、ハリウッドに遅れてやって来た「ヌーヴェル・ヴァーグ」のようなものだったと思っている。『レザボア・ドッグス』はさながら『勝手にしやがれ』のような役割を果たしたというべきか。
タランティーノの立ち位置というのは、実はトリュフォーやゴダールのそれとよく似ている。
旧来の映画産業のシステム内で叩き上げてきたわけではなく、「シネフィル」「批評家」的なスタンスから、いきなり現場に入ってきた人物であること。
(ゴダールたちにとっての「カイエ・デュ・シネマ」が、タランティーノにとっての「マンハッタン・ビーチ・ビデオ・アーカイブ」だった。)
最初は「脚本」の持ち込みからキャリアをスタートさせ、旧カルチャー内のパトロンと伝手をなんとか見出して監督業に乗り出していること。
従来的な「名画」や「文芸作」だけではなく、当時は取るにたらないと考えられていたB級の娯楽映画に積極的な価値を見出し、それらのエンタメ作への「愛」を原動力に映画に取り組んだこと(ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちは、サミュエル・フラーのようなアメリカの40~50年代のフィルム・ノワールと、ヒッチコックのサスペンス映画と、ダグラス・サークのようなメロドラマを高く評価した。タランティーノのB級映画愛好は、これとパラレルな部分がある)。
タランティーノの場合、ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちといちばん異なっていたのは、実作においても、「娯楽映画」の枠から絶対に外れようとしなかったことだ。
彼は、自らのジャンル映画愛をとにかく前面に押し出して、それらのB級娯楽映画のパロディともいえるジャンル映画を撮り続けて来た。
頭でっかちにならず、常に「観客を喜ばせるエンタメ作」を指向してきた。
クライム・フィクション。ブラックスプロイテーション。マカロニ・ウエスタンと任侠映画。ホラー。戦争映画。ミステリー。ハリウッド内幕もの。
彼の映画は、常に愛するジャンル映画群を「リファイン」したものであり、そこにはバッド・テイストや過剰さの引き起こす笑いが散りばめられている。一方で、結果として生み出された作品は、なんだかんだいって常に「クオリティが高い」。
「頭のべらぼうに良いシネフィルが、全力でくだらないB級映画を撮る」というスタンスそれ自体が、おそらくならタランティーノの発明だったといっていいだろう。
「めちゃくちゃ面白くて完成度の高いB級のジャンル映画」というおそろしく歪んだ代物は、タランティーノ以降生み出された、新たな映画的アプローチだった。
(パンフレットに書かれている、「何度も再生できるヴィデオをメディアとして映画的研鑽を積んだ結果、映画の細部にこだわるようになった最初の世代」という視点もとても重要な指摘だと思う。)
やがて、完成度の高いトリッキーな脚本によって、ジャンル映画をポリッシュしたようなウェルメイドな作品群が、インディー・シーンを中心として続々と製作され始める。
こうした「斬新な映像」に「練りに練った巧緻な脚本(およびサプライズド・エンディング)」を絡めた作品群は、腕ぶす新人監督たちの格好の実験場となり、この流れは世界の隅々にまで広がってゆく。
一方で、タランティーノ以前から「タランティーノ好み」の映画を撮っていた深作欣二や北野武、ウォン・カーウァイらに対しては、積極的にタランティーノの側から「リスペクト」を示し、全米公開の労をとったりもしている。
自作では新たな映画観を呈示し、更新しつづけながらも、新人を積極的に引き立て、過去作品を掘り起こし、「タランティーノ好み」の世界観を拡大し続ける。
彼のやっていることは、江戸時代でいえばまさに「本阿弥光悦」に近いような「実作も超一流の目利き」としての「価値観の再創造」を促してゆく仕事であり、あるいは、モダンホラーにおける「スティーヴン・キング」に匹敵する役回りを示してきたともいえる(キングは「帯推薦」で新人を庇護し、評論において過去作を激賞することで、自らの「傘」の下に多くのホラー作家を従えてきた人だ)。
タランティーノは、1970年代の(当時、評論筋からはバカにされきっていた)大衆向け娯楽映画の再評価と実作への援用によって、「趣味性」と「偏愛」が立派に「作家性」たりうることを証明し、1990年代以降の「映画の在り方を根底から変えて」みせたのだ。
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エルモア・レナードの香りが濃厚な1990年代の初期3作と、より趣味性とドギツいアホネタ度が高まった『キル・ビル』以降(2000年代以降)の作品群には、テイストにそれなりの懸隔があって、個人的には、やはりタランティーノの最高傑作といえば『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』にとどめを刺すと思っている。
アメリカの映画史上、強盗団を主人公にしたフィルム・ノワールは、それこそ星の数ほど作られてきた。しかし、後にも先にも『レザボア・ドッグス』ほどに面白い映画はないし、作られて30年以上が経った今観ても、まったく古びていない。
考えてみると、話のネタ自体は、決して斬新というわけでもない。
強盗団の作戦失敗。疑心暗鬼による自壊劇。
潜入捜査官と犯罪者の駆け引きと友情。
これらの作品内イベントには、多くの人々が指摘する旧作の前例がある。
やはり、今回久しぶりに観直して痛感したのは、なんといってもこの映画は「リズム」が良い。画面の切り替え、役者の演技のメリハリ、音楽のインサート、すべての「間合い」が、絶妙にスタイリッシュで素晴らしいのだ。
それから、リアリティと嘘くささのバランスが絶妙だ。
いかにもそのへんの「輩」がほざいていそうなセリフと、妙にインテリくさい「ライク・ア・ヴァージン論」や「チップ論」の対比。
各キャラの言動に見られる現実感と、フィルム・ノワールに由来する「いかにもな型どおりのギャングしぐさ」の按分。
生っぽいのに、作り物くさい。そこがいい。
もうひとつ、「笑い」と「残酷さ」の兼ね合いが絶妙だ。
たぶん、元ネタとされる『現金に身体を張れ』や『友は風の彼方に』とは一番異なる、タランティーノ独自の「核心」ともいえる部分こそが、この「笑い」の感覚なのではないか。
90年代以降、われわれはこのタランティーノの「笑い」の嗅覚に憧れ、タランティーノが面白いと思うことを自分も面白いと思えるような思考を鍛えることを望み、タランティーノ好みの映画観に寄り添って映画を観ることを強いて来た部分が、間違いなくある。
とくに僕のように、『キネマ旬報』(敵視していたw)や『スクリーン』(バカにしていたw)ではなく、『映画秘宝』をもっぱら愛好してきたような映画ファンの場合、タランティーノの「笑い」への憧れは滅法強かった。
ファックの連呼に笑い、マドセンのダンスに笑い、耳そぎに笑う。
真顔で色名の綽名をつけるジョーに笑い、結局ほとんど出てこないブルーに笑う。
自分を撃った素人のババアを条件反射で容赦なく撃つティム・ロスに笑い、
友と信じた男の裏切りに男梅のように男泣きする男カイテルに笑う。
タランティーノが面白がっている「細部」に共鳴できるか、自分もそれを面白がれるくらいの「マニア性」や「B級映画愛」があるかをはかられている、タランティーノ体験には、なんとなくそんな「試されている」ようなところがある。肩を組んできたタランティーノに「どうだい、イカすだろ??」とささやきかけられているような。
で、「リズム」が良くて、リアリティ・バランスが良くて、「笑い」と「残酷」さの按分が良くて、というのは結局のところ、タランティーノの「センス」が良い、という話に尽きるわけで、誰にでも似たような話は作れても、誰ひとりとして同じ出来の映画を真似することはできないという結論になる。
実際、どこか初々しい生硬さがあちこちに残っている『レザボア・ドッグス』のほうが、作品の純度の高さは『パルプ・フィクション』より上な気もするし、タランティーノ自身、その後も『レザボア・ドッグス』ほどに「鮮烈」な印象を与える映画は作れていない。
タランティーノにとっても、『レザボア・ドッグス』は唯一無二の作品なのだ。
この映画の特別さを語る上では、本作を足掛かりに「さらなる高み」を目指していた(ハーヴェイ・カイテルも含めた)出演俳優たちのギラギラした大熱演ぶりも、大きな役割を果たしていると思う(とくにスティーヴ・ブシェミとマイケル・マドセンはほんとに良い)。一方で、ブルー役に敬愛する元犯罪者エディ・バンカーを出演させるあたり、やっていることがゴダールと本当によく似ている。
ハーヴェイ・カイテルは、スコセッシ仕込みということもあるのか、演技プランや台詞の繰り返しを多用するクセにデ・ニーロの影を感じないでもないが、スターらしい風格で映画をぐっと引き締めている。彼がいるといないとではまるで違う映画になっていただろう。特にラストシーンは、実は意外に説得力を持たせるのが難しい展開だと思うのだが、カイテルの力業で無理やり押し切った感があって、さすがとしかいいようがない。
個人的には、ガソリンの充満した倉庫で撃ち合いなどしでかしたら、そんなことではすまないだろう、と思うところもあるし、タランティーノ演じるブラウンの死は、もう少しきっちり描いたほうが良かったのではとも思う(初見時、僕はこれって『そして誰もいなくなった』ネタか!と思って、てっきり最後に生き残ったタランティーノがダイヤをかっさらっていくオチかとばかり思って観ていたので、ラストで微妙にがっかりした記憶があるw)
でもまあ、今回観直してみて、やっぱり思いました。
これを超える映画ってのは、そうそう今後も出てこないし、
自分の青春時代にこの映画に出逢えてよかったなと。
みなさん、まだ劇場でやってる間にぜひ大スクリーンでご堪能ください!
あと、パンフレットはマストバイ。この映画をしゃぶりつくすために必要な解説とトリビアのすべてがぎっしり詰まった、超お手頃ガイドとなっていて、マジで素晴らしいです。
【全く色褪せない興奮再び‼︎】
学生時代に観て以来の鑑賞。まずポスターがカッコいい。ワクワクする心地良いテンポ、卑しい内容なのに何故かスタイリッシュな会話の遣り取り、George Baker「Little Green Bag」、Blue Swede「Hooked On A Feeling」、Joe Tex「I Gotcha」他、今もCM等々でお馴染みの時代を象徴する音楽選曲(Madonna「Like A Virgin」はタランティーノ演じるMr. Brownの独り善がりの講釈のみ、冒頭のこのdinerで円卓を囲んでの与太話シーンは秀逸🤣)と、あっという間の上映時間99分。
本作に影響を受けたり、オマージュした作品が幾つあるのだろうと改めて思わせてくれる。気を衒ったようで計算され尽くした観る者を惹きつける脚本と編集、狂気とクールが錯綜する予測不能のスリリングな展開と人物設定の妙は、全く以て色褪せるどころか四半世紀を経ても新鮮でさえある。マカロニ・ウェスタンのような古典的雰囲気漂うラストシーンも知ってて観ても見事な終幕。
ここ最近の名作傑作デジタルリマスター版リバイバル公開の潮流に感謝!この機会がなければもう観てなかっただろう、今後とも是非お願いしたい‼︎
ずっと瀕死のオレンジ(^_^;)
タランティーノの大ファンです。
もちろんレザボアも何度も観ていますが、又また劇場でかかるのならば行きますとも〜٩( ᐛ )و
エマちゃん振り切ってGO!
公開当時のカンヌでは「心臓の弱い方はご遠慮下さい」ステッカーが貼られまくっていたそうですw
そしてやっぱり途中退場者続出!
だから言ったじゃんw
しかし同時に最大の話題を掻っさらった本作!
私も初見時は。。
「何だコレ〜〜!!」ってテンション上がっちゃって変な笑いが止まらなかった!
映画ファンならご存知。
あまりにも有名な冒頭のあのくだらないバカ話しから始まる本作。
今でこそ、本編の内容と直接は関係のないムダ話しは、タラ作品のアイコンのようになっているが、伝説はここから始まったんだなぁ〜と思うと余計にニヤリとする。
ライク・ア・ヴァージンのバカバカしい解釈や、チップを払う払わない云々。プププ。
そんな会話劇を見せておいて、そこに集まったメンバーはこれから強盗に行くと分からせる。
Little Green Bagが流れてきて痺れる!
黒いスーツの6人
(+ジョーとエディ)が歩いているだけのシーンなのに超絶クール٩( ᐛ )و
鼻血ブー٩( ᐛ )و
(TVアニメ「チェーンソーマン」のオープニングにも引用されていたね♡
こっちもクール!)
そして!!
メインだと思われたその強盗シーンは全くない!!
血まみれのオレンジ〜!!ど〜したぁ〜!!
こんな思い切った構成は、ハリウッド映画にはなかったし、とても斬新だったよ。
時間の流れを、見せたい順番に並べ替えたりしながら、ほぼ倉庫内だけで展開されるストーリーなのに、緊張続きでぐんぐん引き込まれる。
低予算なのは明らかだが、テンポ良く進むリズム感が気持ちいい。
公開当時、映画好きの先輩が、この作品がいかにぶっ飛んだ構成で、見事な脚本で、新しく、オリジナリティ溢れる作品だったかを熱弁しておりました。
「多くの映画を観てきた人ならわかる、このケレン味がたまらないのだよ、ゆき君」と。。ゲンドウばりに静かだが熱く語られた事を思い出しましたw
ケレン味?何それ?美味しいの?
( ・∇・)
又、タランティーノ作品には欠かせない、えげつないバイオレンス描写。
トラウマ確実!
「Stuck In The Middle With You」
に合わせての拷問ダンス&耳切りシーン!!
(続・荒野の用心棒のオマージュ)
「暴力は僕の美意識」と語るタラちゃん。
賛否あると思うが、ブロンドのキャラ付けとしては必要な描写で、ここまで記憶に残るシーンになるのだから完敗です。
そしてファンの間で大いに盛り上がったシーン。
「エディは誰に撃たれたのか?!」
2秒程のシーンなので初見だと全く気にならなかった人もいただろう。
しかし、私とゲンドウは話し合ったよね。今みたいにすぐに確認出来るツールもなかったし、、
ホワイト2発説?んーーー。。
その後発売されたDVDで何回も確認したけど、結果謎のまま。。
そして後あと分かる驚愕の事実。。
何と!!ミスか〜〜い!!!と、ツッコむのだがw
本作の圧倒的なパワーと存在感にはむしろそれもプラスに働いた(^。^)
いやいや、久しぶりに観ても興奮する映画だね!映画っていいね!
◯「らし〜」を3つ。。
⚫︎ライク・ア・ヴァージンの解釈について、マドンナ自身からダメ出しをくらったタラちゃん。でもサイン付きのアルバムをもらったらし〜w
⚫︎今回の公開を記念して発売された
マーヴィン・ナッシュ「右耳クッキー」
即完だったらし〜w
いらないけど見たかったなw
⚫︎ホワイト(ハーヴェイ・カイテル♡)の黒スーツはアニエス・ベーらし〜w
最後に。。
なぜオレンジは死ぬ間際に自分の正体をホワイトに明かしたのか。。
の問いに、タラちゃん。
「日本語の"JINGI”(仁義)だ」と語っていましたよ♪
くぅぅ〜!痺れるね〜٩( ᐛ )و
24-014
オレンジ、作中ほぼ死にかけてる男
ピンク、なんだかんだで逃げ遅れた男
ブランド、義理堅いがイカれてる男
ブラウン、マドンナの話だけして死ぬ男
ブルー、存在感なく死んだ男
ホワイト、情に絆されて翻弄される男
タランティーノの第1作、
楽しめました。
30年前の作品とは思えない名作。
デビュー作でその才能が爆発してますねぇ。
感想メモ
タイトルコールがかっこいい!
かっこいいシーンがいっぱいで満足、話もコンパクトにまとまっていて良い
like a virgin は巨根の歌、力説しているブラウンがタランティーノご本人、以降ほぼ出番無し、ブルーも最初だけの出番
強盗の話だが、強盗シーンは無し、逃走シーンからのスタート、メインは倉庫での会話劇、それぞれのキャラが会話だけでほぼわかる、すごい
よく吠える犬だ、噛みつくか?
ダンスしながら拷問するシーンが好き、ジョジョ5部のやつだ!ブロンドのイカれ具合とボスへの忠誠心が好き
最後のシーンが謎、エディを撃ったのは誰なの?ホワイトが2発撃ったのか?
オレンジの目が綺麗、最後自分が潜入捜査官である事を自分を信じてくれたホワイトに正直に打ち明け、銃口を向けられ、…最後の結末は分からずじまいだが、どっちも死んだんじゃないかなぁと思う
最高だよ懐かしい
アマプラに来てたからみたけど、上映してたの?
1990年代後半、高校生のときこういう映画みるのがかっこいいと思ってて、観てた懐かしい映画。サントラももってたなぁ。
でもいい音楽にあわせて暴力シーンがあるってことしか覚えてなかった。
オレンジが潜入捜査官なのね
知ってたのに口割らなかった警官すごくない?
警官とオレンジだけになったとき、ジョーを待ってたのか不明。
ジョーてボスだよね?ジョーきたら状況てきにおかしいってならない?
仲間の警官はなんでこないの?
それで最後に3人打ち合いになったとき、ホワイトを撃った青い上着の男を撃ったのはだれ?ピンクってこと?
結局ピンクがダイヤも隠してたし全部持ってちゃったてことか??
オレンジ最後なんで、ホワイトに「俺は刑事だ」て言っちゃうんだよて思ったけど、命をかけて自分を信じてくれて答えなきゃと思ったんだろうな。
で、たぶんホワイトはオレンジ撃つ前に殺されたよね(入ってきた警察に撃たれた)ホワイトいいやつでなんか可哀想。
音楽がいい。
ネタバレしたあとでも何回も観たい。
今となれば奇跡のキャスティング
タランティーノの監督第1作。映画凍結期の作品なので今回の再映は本当に嬉しい☺️
で、やっぱ痺れました。
自分は圧倒的にマドセン推し‼︎
皆さんはどうなのだろう。
それにしても冒頭のくだらない会話の楽しさといったら。Madonna の “Like A Virgin” は巨根の👨と出会った👩の歌だったのですね。メチャ納得しました。
映画オタクによるミクスチャー音楽のような…
新しい映画だ。改めて見直すとタランティーノの原点であり、彼の作品のエッセンスが全て詰まった面白さが溢れ返る。映画好きの鑑賞者は思わずニヤリとするシーンも多々あり、サントラもバツグンにカッコいい。俳優たちも灰汁が強くて曲者揃いなのも魅力の一つである。映画と音楽オタクが作品を作り出すとこれほど見応えのある濃密な作品が出来ることの証明でもある。数年後、彼の最高傑作だと私が思っている「パルプフィクション」が作られるのも良く理解できる。オタクにチンピラ要素を混ぜて、彼のダンディズムで作り出せば、こういうのが出来上がる訳だ。アクション映画史へのオマージュとも、取れなくもない。
この小ネタでよくこねました
タランティーノ監督のデビュー作品。
ハーベイ・カイテル目当てでデジタル・リマスター版を鑑賞。映像はとても鮮明できれいだった。
実際の宝石強盗場面はなし。
潜入捜査官(警察の犬)が仲間の中にいなきゃ失敗しなかったとホワイトとピンクが瀕死のオレンジ(ティム·ロス)をほったらかして、腹を探り合う。集合場所の倉庫で横たわるオレンジの出血量は相当なものなのになぜか顔色は最後までまずまず保たれていた。最期は三つ巴で撃たれ、深傷を負ったホワイトに応えるオレンジ。義理人情に熱いホワイトにせめてもの恩返しと思ったのか、どうせ二人共おしまいだと思ったのか?
ティム·ロスって、顔は真面目なのにコメディ味のある演技派だねぇ。インクレディブル・ハルクなんかみると完全に三枚目だし。
ハーベイ・カイテルが脚本を気に入って主演とプロデュースを買って出た二人にとってラッキーだった作品。
ブラウン(Qタランティーノ)のライクアパージンのくっだらない解釈のオープニングはまるで落語のマクラ。
プロの強盗なのに1ドルのチップもケチるピンク。
最後、ピンクはきっと逃げたね。
なんか落語っぽい。
コードネームが色。笑点?
黄色はさすがにイヤだねぇ。
この小ネタで2時間近く引っ張るなんて、当時としては新鮮で、そりゃウケるに違いないや。
ブルーが無口で一番悪そうだと思ったら、エドワード・バンカー、本物の元·犯罪者でした。
くだらいことに意味ある
何度も観たけれど、映画館では初見。映画館でみると低予算で作れられているな~としみじみ思う反面、家で観るより面白く感じました。
テンポが良い。
小気味よい会話劇サイコー。
良く纏まっている。
時間も丁度いいくらい。
良くてできている。
大金使わなくても脚本と構成と役者が上手ければ映画ってのは面白いって思えるお手本のような作品。
舞台劇のような作品なので役者がシッカリしてれば、リアリティーレベルが「どうのこうの」というお話でもないです。
銃も重みがあって良い感じです。
「血は相変わらず出すぎやな」とは思いましたが。
今まで気が付かなかった役者の細かい表情、演技も映画館だからか気づけたのでしょうか、それともそこに気がつけるようになったのか。
スクリーンにかかった時は観れなかった、古い映画を上映してくれるのは本当にありがたいです。
トランプの踊りを何処かで見たなことあると思っていたら、Mr.ブロンドのダンスでした。
ここから始まるタランティーノの世界
クエンティン・タランティーノ1作目の監督作品。
ここから始まるタランティーノの世界。
冒頭の意味のないおしゃべりシーンから
この映画が他とは違う雰囲気を漂わせる。
100分と短いけれど濃い映画。
ほとんど倉庫内での展開ですがずっとヒリヒリします。
この映画は脚本がしっかりしているからいつまでも楽しめます。
鬼才
1991年クエンティン・タランティーノ
監督の初期作品。若干28歳の鬼作で力作。
本人もブラウン役で登場。若々しい。
強盗を指示する親子とそこにかき集められた
強盗集団。宝石を強奪に。
お互いの名前、出身地、職業は言わない約束。
強盗犯6名には色の名前を付けられる。
くだらない雑談と小話からテーマソング
Like a Virgin が流れてくるのもセンスがある。
彼らしい、音楽、無駄話、バイオレンスの
バランスは凄い。自由に操る時系列と個性の
キャラクターを満載にして楽しませてくれる。
脚本も良いよね。
ブロンドが警察官を殺戮しようとするシーンも
残虐だが軽快な踊りと音楽をあてがうとは。
恐ろしさの中の対比を感じる。
寄せ集め軍団なので、何が起きるか分からないし
根っから悪だが、其々の人情と人間性を演出。
次第に疑心暗鬼になっていく心情も分かる。
オレンジの小話をするシーンは
緊張感が伝わり、観てる側も同じ感じに陥る。
テンポの良い会話劇と演出、監督独特の
才能を改めて実感した作品でした。
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